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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第四十話 つかの間の休息

前話

 ユレーネが目を覚ますと手を握ったままレオポルトが突っ伏して眠っていた。身じろぐとリリアーナの小さな声がする。
「目が覚めたのね。お兄ちゃんは疲れているの。リリアーナが用事を聞くわ」
 少し大人っぽい口調で話す妹分を不思議な目でユレーネは見る。
「妖精の国は時間の流れが違うの。そこで過ごしていたら、心の年齢の成長が早まったの。でも、アイシャードはそれは内緒にしておきなさい、って言ってたから言えなかったんだけど、もう話していいんだって。変なの」
 昔のリリアーナの面影を見て安堵するユレーネである。
「アドルフは?」
「退却したわ。それで、お姉ちゃんをアイシャードの庵に移してお兄ちゃんが見ていたの。でもお兄ちゃんも疲れているのね。手を握ったらすぐ寝ちゃった」
「そう」
 そう言って繋がれている手を見る。魔力が少しずつ流れてきている。自分の命が危なくなるほど魔力を使ったのだろうか。
「お姉ちゃんの中に眠っている魔力が大きすぎてお姉ちゃんの中で暴走して魔力がでなくなったの。だから、お兄ちゃんと一緒に行けるよ。今、鍵をとったから」
「鍵?」
「お姉ちゃんの中の魔力の限界点といえばいいかな? ここが無理しちゃってお姉ちゃん倒れたの」
「そう」
 大人びたリリアーナには驚くが、顔は今まで見てきた顔と一緒だ。
 そこへ母、エルミナが入ってくる。
「お母様!」
「おかーさん!」
 リリアーナがとんで行く。母親をお母さんと呼ぶのは心の成長が早まっても同じらしい。
「大丈夫ですか? あなたに氷の王家に伝わっている防具を持ってきましたよ。魔法がかけられているから大きさはあなたにぴったりのはずよ」
 心配そうな色も見せない母親にユレーネは謝る。
「心配かけてごめんなさい。だけど、私は決めたの。レオポルトの側を離れないって」
「わかってます。お父様と私が恋をしたことを思い出しましたよ。母も同じ気持ちになるでしょうね。心配はしていますが、この次女の面倒を見て欲しいとアイシャードからの頼み事がありますから、一緒に連れて帰りますよ」
 その言葉にえー、と言うリリアーナである。
「リリアーナはアイシャードの愛弟子ですよ。これから色んな事を学んでいかなければいけません。お兄ちゃん達が頑張っている間リリアーナにはこの国の防御をアイシャードと一緒にするのよ。それがお兄ちゃん達への助けになるの。さぁ、ここは恋人達の空間よ。リリアーナにはまだ早すぎます。帰りますよ」
「はぁい。あ。これ妖精の水の残り。お兄ちゃんと一緒に飲んで。それから! 何かあったらフロストトパーズの指輪を投げるといいよ」
 連れて行かれながらも水筒を渡して助言をして行くあたりはしっかりとしている。将来が楽しみだ。そんな騒ぎの中でもレオポルトは眠り続けていた。疲れたのだろう。目が覚めれば、すぐ戦況を判断して進軍するだろう。王というのにふさわしい急成長を遂げたレオポルトは頼もしい。惚れ直した、と思って自分も色ボケしている、と反省する。
「ユレーネ」
「おはよう。旦那様」
「俺、寝てたのか?」
 余りにも熟睡していたためかぼーっとしている。
「そうよ。リリアーナから残りの妖精の水をもらったわ。お兄ちゃんと飲んでって」
「そうか。リリアーナが……。将来が楽しみだな」
「あら。私も同じ事を考えたのよ。私以上にぶっとんだ姫になるわよ」
「だな。ニコ達は?」
「もう、戦の事? 少しは目の覚めた恋人を甘やかしてよ」
「わかった。何をすればいい?」
「ぎゅーって抱きしめて」
「キスじゃないのか」
「押し倒すわけにはいきませんからね」
「ユレーネらしいや」
 少年らしい笑いをしてレオポルトはユレーネを抱きしめる。お互いの心臓の鼓動が伝わりそうなぐらい。
「愛しているわ。レオ」
「俺もユレーネを愛している」
 二人はしばらくお互いの存在を確かめるように抱きしめ合っていた。


あとがき
またもいちゃいちゃしてます。まぁ、恋愛が入ってるので仕方ないんですが。最近、恋愛を組み込むのが面倒になってきました。ただのファンタジー小説が書きたい。でも、経験ないなー。

と、これだけは出勤前の更新です。今日は野球あるかしら。今朝は四時十分起きで魚にご飯をあげるときにこっくりこっくりと寝てました。途中で起きれなくなったんですが、なんとか乗り越えて起きてます。眠ったのも日付越えてからでした。いつも寝ようかなとすると目がさえる。

不眠症治したい。というより中や逆転ですかね。おかげで「星彩の運命と情熱」の肝心の二話が書けました。でも寝ぼけ眼なのであとで改稿が必要です。

でも今日起きていられるのかしら。ほんと。

そんなこんなの朝です。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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