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【再掲載連載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメという名の姫君の物語 第二十七話‐ユメ-改めまして……。

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前話

 お風呂に入って身なりを整えてタイガーが療養している部屋へ向かうと文句が飛んできた。
「遅いよ。ロッテ」
 そう言って手を出す。私は隣に行って握る。
「綺麗にしてきたんだね。さっきの乱れた君も素敵だけど、こっちのロッテも素敵だよ」
 滅多ににしないお化粧までしてるのに気づいたよう。
「恋人の看病に着くのにすっぴんで行くわけにはいかないでしょう?」
 にっこり笑うとタイガーも微笑む。周りの音も消えて二人きりのような気がする。そこへ、お母様とお父様が入ってきた。声をかけられるまで気づかなかった。
「二人きりの世界のようね」
「王妃様!」
「お母様、よ」
「はい、お母様」
 そう言って椅子から立って場所を譲ろうとすると止められた。
「そこはあなたの席よ。立ち退く必要はないわ。アレクシス、不便はないですか? ユメ姫が着いてるから問題はないと思うけれど」
「問題ならあります。早くこの傷を治して下さい。ロッテとデートする時間さえない」
「まぁ!」
 タイガーの子供のようなわがままに私はびっくりする。やれやれ、と陛下、お父様が言う。
「見舞いに来た途端、それか。多少はユメ姫の労をねぎらうんだな。ずっと着いて祈っていたのだよ」
「知ってます。彼女が泣いてるように聞こえて目が覚めたのです。彼女の涙は俺は見たくなかった。ただ、それだけで戻ってきたんです」
 戻ってきた、という言葉に何か含まれている意味があるように私は気づいた。そっと見るとタイガーはそっと肯く。確か、聞いて欲しい話がある、とかなんとか言っていたような……。
「やれやれ。困った息子だな。目覚めた途端、姫と二人きりになりたがるのだから。男のけじめはつけるのだぞ」
 どんなけじめなの!
 言外に含まれている大人の言葉に私は真っ赤になる。
「わかってます。彼女のことは俺以外に適任者はいませんからね」
 大した言葉だこと。最初はうやむやにしようというつもりだったのに。
「ロッテ。両親と話しただけでやきもちは妬かないでくれ」
「妬いてません! あきれてるんです!」
 ま。とお母様が言う。
「ユメ姫の方が随分と大人ね。二人きりになっても手出しは無用ですよ」
 お父様とお母様の言うことが違う。
「どっちの言葉を守ればいいんですか」
 さすがにタイガーも苦笑いだ。
「それだけ言えれば安心だな。ユメ姫、頼んだぞ」
「はいって。もう?」
 短時間の見舞いに驚くとご夫婦そろって言う。
「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られてしまえ、だからな」
「そうですわ。真の愛に変わったんですもの」
 お母様はもう私を娘と同じと思っている。うっとりとした目がそう語っていた。ロマンティックな事がお母様は好きなのね。そうして陛下と王妃様はさっさと出て行かれた。
「薄情な両親だ」
「誰が追い出したの!」
「おお。こっちも怖いな。で、ロッテ」
「ええ。人払いをした方がよさそうね」
「ああ」
 周りは恋人の時間と思っていたけれど、それは全く違う時間のことだった。


あとがき
眠り姫の執筆日には途中まで書いていた、この「ユメという名の姫君の物語」をお届けします。これで27話ですが、ゆうに残り10話はあるので、限界まで載せれたら載せます。これも再掲載になります。最新話で詰まったんですよね。心理学の本のことを書かないといけなくなって。ユング心理学となります。本途中で放り出して大変なんです。学術本なんで言葉が固い。無意識の構造を読み直した方がいいのかしら、なんて思ってます。河合先生のが一番読みやすい。水替えしないといけないけれど放置の方がなぜか健康。エロモナス菌の病気からも半分治りきってない感じがしていたコリパンダもいつの間にか完全治癒してた。薬浴が効果なかったのに。びっくり。なんてアクアリウムの話もおいおいしていければと思います。愚痴はあれど、マインドフルネスをしたので少し気が楽です。力んでいるようです。脈拍が異常に下がったのでびっくり。センス2では脈拍をなかなか察知しないのですが、ヴァーサ4はすぐでました。皮膚電動んしたくて昔の取り出しましたが、不具合が多すぎて変えました。快調なスマートウォッチ生活です。と、これエッセイのネタよね。それではここまで読んでくださってありがとうございました。

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