第百四十一回 Ba 沙我|ノーズマウンテン・ラジオ「今後はよほどの何かがない限りは“第九”を貫こうと思ってます」

ある時はニューアルバムのベースパート録りをYouTube公開RECで行ったり、またある時は「THE ALTERNATIVE」のツアー開始直前、Naoを交えてLINE LIVEで生配信を行ったり。そんな沙我が、次は神奈川県・江ノ島で開催する自身の生誕祭「THE ALTERNATIVE 4th season 沙我生誕祭 in ENOSHIMA」に於いて、この「ノーズマウンテン・ラジオ」の公開収録に挑むという。「ヴィジュアル系主義」フェス出演直後の沙我が、今年に入って以降様々な生配信活動を行ってきた理由、さらにはライブの登場SEをベートーヴェンの「交響曲第9番 合唱」に変えた理由などを次々と明らかにしていく。

ーー初のnote公録が目の前に控えている沙我さん。これに繋がる活動としてまず、「アルバム収録曲のベースRECをファンに公開する」という驚きの生配信を行われました。

逆に、なんでみんなこういうことをやらないんだろう?と思って。今はみんな、生配信で色々やってるじゃないですか?なんでレコーディングは生配信しないんだろう?と思って、そこに“隙間”をすごく感じたんですよ。

ーー隙間産業的な目のつけどころですね。

そうそう。だって、自分がファンの立場だったら絶対観たいと思うし。あと、こういうのを見せることによって、作品に対して愛着を持ちやすくなるんじゃないかなというのもあったんですね。

ーーなるほど。

会う度に「今アルバム作ってるから」ってこっちは言ってるけど、実際にはこっちが何をやっているのかなんて、ファンは分からないじゃないですか。

ーーそうですね。ライブではK-POP界隈、今は日本のアーティストもリハーサルを特典やチケット制にしてファンに見せたりしてますけど、レコーディングとなると、ライブ(会場で行なう)レコーディング以外はさすがに聞いたことないです。

だったら、「こういうところも見せた方がみんなは喜ぶだろうな」というシンプルな発想ですよ。普通の人は何故やらないのかというと、公開レコーディングは難易度が高いからなんですよ。だってね、下手だったらすぐにバレますから。上手い人は上手いし。音が裸だから誤魔化しなくそれが伝わってしまう。僕は、そこも面白い、僕ならいけると思ったからやったんですよね。

ーーメンバーは知っていたんですか?

はい。あの数か月前、メンバーに「俺はこういうことやるよ」と伝えたら「うん、いいんじゃない」という感じでした。

ーー意外とあっさりした反応。

そうなんですよ。俺としては「面白そうだから他にもやりたい人がいたらやれば?」という気持ちもあっての提案だったんですけどね。

ーーなるほど。

ただこれには、「すごく短時間で録らなきゃいけない」というもう一つの難しいハードルがある。それができるかできないのかというところは、演る側としての挑戦な訳ですよ。僕はそこを面白いと思えたんでやったんです。あとは、みんな新しいアルバムって愛着を持ちにくいじゃないですか?思い出が無いから。どうしてもみなさんは、昔の作品の方が思い出が詰まってて、愛着がたくさんあるから好きなんですよ。これまでたくさんそういう愛着のある過去作品を持ってる中に新しい作品をポンと出されても、みんな構えちゃうじゃないですか。だから、僕的には制作段階からこうして見せていくことで、なるべくみなさんに作品に対して関心を向けてもらい、愛着を持ってもらえるようなことをワンクッション入れて。そうすることで“完成するまで一緒に歩んできたんだよ”という意識を少しでもいいから持ってもらうための秘策というか。

ーー公開RECにはそんな狙いがあったんですね。沙我さんが公開RECした曲はヒロトさんの楽曲と仰っていましたが、何故あの曲を選ばれたのでしょうか。

アルバムの中で、あの曲はわりと自由なポジションにある曲で、「絶対にここにいなきゃダメ」というような曲でもなく。アルバムをすごく象徴しているような曲もでなかったから、先出ししてもいいな、と思ってあの曲にしたんです。

ーータイトルはもうついたんですか?

今は「Roar」というタイトルがついてます。

ーーアルバムには公開RECの時に録ったベーステイクが収録されるんですか?

もちろん! 

ーーそう考えると、あの時同じ時間を共有していただけなのに、アルバムの制作に参加したような気持ちになりますね。

そうそうそうそう!そうなんですよ。これならいきなり新曲を出されても最初から「あぁー、あれか!」って記憶に残っているものになる。それを残したかったんですよ。

ーー沙我さんはああいった形でRECしてみてどうでしたか?いつもとは違いますよね。

僕もやってみないことにはどういうものなのか分からなかったんですけど、やってみたら意外と普通にできました。いつものように何回も何回も録り直したものと比べると精度は低いかもしれないですけど。でも、今回は細かく超シビアな感じでいいテイクを追求していって弾くということよりも、それ以上にああやってみんなが観ている環境の中、緊張感がある中で弾くということに意義があると思ったんで。

ーーそういった特殊な環境下で生まれ出たテイクを残すということが、一番重要だった訳ですね?

そう。曲調的にもそういうテイクが似合うなと思ったので。

ーー画面越しですけど、みんなが観てくれているというのがあると、いつもとは意識は違うものですか?
はい。まったく違いましたね。だから、こっちも「観てるな」というのをずっと感じながら弾いてました。だから、多少気は散りました(笑)。普段僕はエンジニアさんとかに観られながらRECしてる訳ですけど、ああやってファンの方々に観られながらやるというのは、まったく違う緊張感があるんで。みんなにもやってみて欲しいですけどね。ああいう環境下でどんなテイクが録れるのか。

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