【ショートストーリー】一番大切なものを抱えて生きている
一番好きな人には怖くて心を打ち明けられず、
二番目に好きな人とつき合った。
本当は陶芸家になりたかったけれど、
それは趣味でいいからと自分に言い聞かせて、
楽な道を選び、花屋でアルバイトをして
生計を立てていた。
それで満足できるような自分ではないと
わかるまで、二年と四ヵ月かかった。
花屋を辞めた後、小淵沢の萌黄窯に弟子入りして、
来る日も来る日も土を焼いた。
お客さんが自分の焼いた茶碗や小皿を
喜んで買っていくのを見るのは、
やはり嬉しいものだった。
小淵沢に来てから