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“端っこ”で見つけた、心に残るショー

アデレードで今開催中のお祭り、Fringe Festival(フリンジ フェスティバル)。

「Fringe」という言葉そのものの意味にある通り、普段は町の端っこで細々と営む、少し独特で時に過激的な表現者たちが集まるフェスティバル。

朝から夜まで切れ間なく行われる有料の劇やコンサート、サーカスやダークコメディー、トークショー等で数日間盛り上がります。

夜は会場の公園がカラフルな丸電球でライトアップされ屋台も並ぶので、大学時代は毎年友達とお祭り見物に行っていました。

おっぱいが今にもはみ出しそうな服を着たお姉さんかと思いきや女装をした男性だったり、カウボーイがいたり、耳たぶが地面につきそうなくらい伸びた人が指輪を売り歩いていたり、1メートルくらいのハイヒールを履いて走り回るピエロがいたり。

いろいろ見ましたが(笑)、今でも鮮明に思い出せる心温まるショーがありました。

その日、公園の隅っこに小さなステージを設けてパフォーマンスを披露していた背の高いおじさんの前で足を止めました。

チケットなし、収益はステージ前につつましく置かれた黒い帽子に入るチップだけ。

音楽がかかると大きなスーツを手にとり、コミカルに袖を通したおじさん。

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ぷぅーっと一息で長風船をつくる大技や、陽気な音楽に合わせて踊るキレッキレなダンス、笑わずにいられないパネルジョーク、スーツと体を使って作り上げるトリックアートで立ち見客は最後まで大盛り上がり。

彼がスーツから身を外す頃には大勢の観客が集まっていて、大きな拍手喝采が起こりました。

ショーの終わり際、商売道具であるそのスーツにキスとお辞儀をして敬意を表す仕草に、みんなの笑顔を作り続けてきたおじさんの誇りを感じました。

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