小さな手のひら

静けさが満ちる夜。私は海辺にいた。さざ波が耳を慰め、寄せては引く波が砂を巻き上げ、ただ落ちていく様をじっとみていた。

実際には、現実の海辺じゃなくてYoutubeで見つけた海辺の動画をぼぅっとみてた。今日はもう、すぐには眠れそうになかったから。せめて寝る前だけでも自然の音に身体を預けたかった。

最近は、テレビを付けてもYoutubeをみててもロシアがウクライナに侵攻したニュースばかり。胸が痛くなる。戦争は何も生まない。戦争に勝者なんていないのに、人はどこまでも強欲で傲慢な生き物なんだと思ってしまう。勿論それは一部の人間に限るけど、そのたった一部の人間が、皆が歩もうとしている平和という道を閉ざしてる気がする。

侵攻してるロシア側でさえ、国民はプラカードを携え戦争反対と声をあげ続けてる映像をみた。周りが続々と逮捕をされていく中、声を途絶えさせないようにと、ただひたすらに声をあげ続けていた。

そんな敬意ある映像を、人として尊敬しなければならない人達のことを、私は温かいコーヒーを啜りながらみていた。どこか遠巻きに。安全な場所に腰を据え、人ごとのようにみてる自分がいた。それに気付いた時、自分のことを無性に許せなくなった。やるせない気持ちが一瞬で心を覆い、自分に対して吐き気がした。

何かしなくちゃ、何か出来ないかと思い、そこからネットでいろんな情報を調べた。

今のところ、ウクライナ大使館にお金を寄付することは出来るみたいだけど、どれが一番ウクライナの人達の手助けになる近道か分からず、もっと自分で調べてみようと思った。

このとてつもなく広い世界の中で私はちっぽけな存在で、更にちっぽけな自分の手のひらでも、何か出来ることはあると信じているから。