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「瞑の力 想の力」

 “世界のトップリーダー”たちの多くが瞑想を取り入れていることから、今回は瞑想について考えてみました。

 瞑想という言葉は、英語のMeditation(メディテーション)を明治時代に日本語に翻訳されたそうですが、普段国語を教えているためか漢字の成り立ちや語源などがとても気になってしまいます。調べてみると瞑想の「瞑」は目を閉じる・無にするということで、また「想」は思い描くことということでした。


 例えて言うなら『瞑』は真っ白なボードの文字をきれいに消し去ることで、反対に『想』は真っ白なボードに新しい文字を書き込むことです。再び書き込む機会を得れたなら、以前に消し去ったものより、正しいものを描いてこそ消した甲斐があるというものです。

 新しいことを始める時や、自分を改革したい時、私たちは一旦リセットをする作業をしがちです。例えば就職や進学などの機会に、新たに服装を選びその場にあったシチュエーションを作り出そうとすることなどは意識せずに瞑想の基本がなされていると思いました。
 そこで、さらに考えてみたのですが『想』が本当の力を発揮するためにはその前の『瞑』が大変重要なのではないかということです。新たなことに取り組む時、人はつい次の目標や新たな場面に意識が行きがちですが、このように『瞑』が大切であると考えたなら、しっかりと以前の出来事や経験を総括しておく必要があるでしょう。

 上手くできたことは「もっと上手くできる方法はなかっただろうか」と考え、上手くできなかったことは「どうしておけばよかったのか?この次同じような機会があればどうするべきか?」を内省し、まとめた上でリセットするということこそ大切なことだと思います。

 ところで、アメリカでは『瞑想』をマインドフルネスと言われたりもしますが、「ストレス・集中力・痛み・認知症予防・記憶」など様々なことについて瞑想中の脳を調べる研究が進んでいます。一昔前は大人になれば脳細胞は増えないと言われていましたが、近年では瞑想者は精神状態を調節してある種の内的な充実感を達成しようとすることで、集中力を高めたりストレス解消になったりするのにとどまらず脳に生理学的な変化がおこることが大学などの研究で確かめられつつあります。つまり大人になっても脳は物理的に変化し続けていることが瞑想を研究する上でわかってきたのです。さらにはこれらの研究から認知症予防にも効果あると言われ始めています。

 2500年前、瞑想の力を用いて人々を苦しみから救おうと考えた人物がいました。それはブッダです。数千年の時を隔てブッダは今日の私たちがこのような形で瞑想の研究に取り組んでいる様子を、もしどこかからみていたら…なんと言われるでしょう?「まだそんなことをしているのですか?」という声が聞こえてきそうです。


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