
ラディッキオのお話
前回、ご紹介したニョッキ料理に使用した、ラディッキオ(Radicchio)。
今日は、そのラディッキオについて、お話させて頂きます。
ラディッキオ(Radicchio)
キク科の野菜で、チコリの一種。
フランス語では、「トレビス(Trévise)」と呼ばれていて、
主産地の北イタリア・ヴェネト州の街・トレヴィーゾ(Treviso)から、
その名が付きました。
ワインレッド色と白のコントラストが美しい冬の葉野菜で、
丸いもの、長細いもの、穂先がくるりっとしているもの等、
日本にも、数種類が流通しています。
旬は、秋から冬にかけてで、ほろ苦い味わいが特徴です。
イタリア原産のラディッキオは、イタリア移民が、アメリカ大陸に持ち込んだと言われていて、現在、アメリカも一大産地のひとつです。
英語では、レッド・チコリ(Red-chicory)と呼ばれていて、
一年を通して、日本にも、多く輸入されています。
近年では、日本でも栽培されていて、輸入ラディッキオと一緒に、
少しずつ、スーパー等の量販店、市場でも並んでいます。
【ラディッキオの種類】
ラディッキオ・キオッジャ(Radicchio Chioggia)
アメリカで作られているラディッキオの代表格。
一番、流通しているのが、この丸い形の「キオッジャ」です。
葉は軟らかく、苦みが一番少ないので、生食に適しています。
土壌によっては、グリーンがかる事もあるそうです。(写真・右)
ラディッキオ・トレヴィーゾ(Radicchio Treviso)
縦長に伸びて、チコリの形に似ているのが、この「トレヴィーゾ」。
丸い形のキオッジャよりも、歯ごたえがあり、苦みもあります。
生食も出来ますが、加熱すると苦みが和らぐので、
ソテーや、オーブン焼きに適しています。
ラディッキオ・タルディーヴォ( Radicchio Tardivo)
(絵葉書)
トレヴィーゾ郊外で作られている希少価値のある「タルディーヴォ」。
細長く伸び、葉先がくるりと内側に巻き込むような形をしていて、
地元では、“冬の花”とも呼ばれています。
イタリア語で、「遅まきの、晩生の」という意味のタルディーヴォ。
畑で栽培、収穫した後に、さらに、根を水槽につけて、2~3週間おき、
追熟させて仕上げるのが、特徴で、
この時、遮光するため、さらに色が鮮明になります。
追熟により、瑞々しく、苦みは少なく、優しい甘みが感じられるほど。
食感もカリカリッとしていて、生食に適しています。
タルティーヴォは、日本で、なかなか、店頭に並ばないのが残念です。
【食べ方】
ラディッキオの特徴でもあるのが、ほろ苦さ。
それが好き!という方もいらっしゃいますが、それが苦手!という方もいらっしゃいます。
苦手という方は、是非、チーズや生クリーム等の乳製品と合わせてみて下さい。
口の中で、乳製品と相まって、苦みが和らぎます。
モッツァレッラチーズのサラダ
(Insalata di mozzarella)
じゃがいものニョッキ・ラディッキオとゴルゴンゾーラのソース
( Gnocchi di patate alla salsa di gorgonzola con radicchio )
加熱するのも良いですよ。
ラディッキオ・トレヴィーゾのオーブン焼き
(Radicchio treviso al forno)
是非、一度、手に取って、食べて頂きたい食材のひとつです。
【トレヴィーゾの街】
ラディッキオの産地・トレヴィーゾ(Treviso)は、
北イタリア・ヴェネト州(州都:ヴェネッツィア)にある街で、
歴史的地区には、文化的価値のある美術館や博物館、フレスコ画を有する建物などもあります。
私も、2000年春に、一度、訪れたことがあります。
(その時の写真なので、ピントがずれていますが、ご了承下さい)
トレヴィーゾを流れるシーレ川(2000年・4月)
(Fiume Sile)
シーレ川が、街を横断するように流れていて、
私の第一印象は、小京都ならぬ、小ヴェネツィアのようでした。
シーレ川の水源は、トレヴィーゾ郊外の地下からの湧き水。
地下からの涌水で、できた川としては、ヨーロッパ最大と言われていて、
そのまま東へ、60㎞先のアドリア海へ注がれていきます。
この良質で、豊富な地下水の恩恵を受けて栽培されているのが、今回ご紹介したラディッキオ・タルディーヴォです。
他にも、マスや鰻の養殖なども行われているそうです。
私が訪れた目的は、やはり、この街の名産・タルディーヴォを食べる為。
4月に入ってすぐ、もう旬としては終わりなのですが、寒い春だったので、
ダメもとで、いくつかのレストランに聞きまわったのですが、なかなか難しく。
やっぱり無理かな…と思っていたら、一軒、ラディッキオのコースを食べさせてあげるよと快諾してくれたレストランがあったんです。
それが、前出の絵葉書を置いていたレストラン「リストランテ・ベッケリエ」。
前菜のサラダ、リゾット、フリットと、ラディッキオのオンパレード。
とても美味しかったのを覚えています。
ただ、料理写真を撮るのを忘れていました…。
改めて、レストランをチェックしたら、改装をされたようで、随分と、お洒落なレストランになっていて、ビックリ!
2000年当時は、山小屋のような雰囲気で、お店の2階は、宿泊が出来る部屋が2~3室あった記憶が。
随分変わったな、20年以上も前の事だからなっと。
ちなみに、イタリア菓子のティラミスは、ここトレヴィーゾが発祥で、
考案したのが、このレストラン・ベッケリエとも言われているそうです。
また、再訪できる機会があれば、ラディッキオフルコースを味わって、
特製ティラミスで締めたいと思っています。
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