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イカ墨について

イタリア語で、nero di seppia(ネーロ・ディ・セッピア)。
nero (黒)、di(~の)、seppia(甲イカ)
直訳すると「甲イカの墨」。

このイカの墨から、作られる絵具の色・セピア
これも「Seppia」が語源と、言われています。

甲イカは、こちら。
本より、引用させて頂きました。

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甲イカ

「からだにおいしい 魚の便利帳(高橋書店)」より、引用
写真内の解説は、新鮮な甲イカの見分け方


胴体の背側に、石灰質の甲を持ち、平たい形で、ポテッとしています。
大きいものは、「もんごういか(紋甲イカ)」とも、呼ばれていて、
こちらの名前の方が、馴染みがある人も、いらっしゃるのではないでしょうか。

ヴェネツィアの市場でも、沢山売られていました。

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甲イカ(seppia):ヴェネツィアの市場にて

甲イカの墨袋は、大きく、沢山、墨が取れるので、
甘くて肉厚の甲イカを使って、イカ墨料理が、作られるようになりました。

どのイカにも、墨袋がありますが、
普段、私達が、よく使うスルメイカ、ヤリイカなどは、
墨袋が小さく、お料理に使うには、量が足りません。

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スルメイカ(Calamaro)
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同じ写真をセピア色に、加工してみました
(スルメイカ)

墨の量が足らない時に、登場するのが、市販されているイカ墨です。

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市販のイカ墨
(Prodotto: nero di seppia)

これは、小分け(4g×2袋)にしたスペイン原産のものですが、
瓶詰のもの、パウダー状のもの、既に、味付けしてあるイカ墨ソース等、
色々と売られています。
もちろん、ネットでも購入することが出来ますし、便利です。

ちなみに、蛸(タコ)も、墨を吐きますよね。
なぜ、イカ墨が食べられて、タコ墨が食べられないのか…。

構造的な問題だそうです。
タコ墨袋は、取り出し難く、手間がかかり、綺麗に袋を取り出せないとか。
味は、イカ墨同様、美味しいそうなので、取り出しやすかったら、
タコ墨パスタも、あったかもしれませんね。

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イカ墨料理、あれこれ

イタリア全土の海側で、良く食べられているイカ墨料理ですが、
私は、ヴェネツィアを旅した時に、よく見かけ、よく食べました。


やはり、イタリアでも、日本でも、一番有名なイカ墨料理は、パスタ。

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イカ墨のスパゲッティ
(Spaghetti al nero di seppia)

イカ墨たっぷりの場合は、食べた時に、歯が真っ黒になりますが、
それでも、あの美味しさが恋しくなり、食べたくなる一品です。

お歯黒になるのが嫌!、だから、食べない!という方。
「酸」を口に含むと、口の中のイカ墨が、取れやすくなります。

是非、イカ墨料理を食べた後に、お酢を使ったもの、
例えば、マリネ料理、ビネガーが入ったドレッシングをかけたサラダ等を、食べると、お歯黒も、消えていきますよ。


それでも、まだ、躊躇される方は、イカ墨を練り込んだパスタが
お勧めです。

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イカ墨のタリアテッレ・あさりのソース
(Tagliatelle al nero di seppia con vongole)

イカ墨を加えて捏ねて出来る、真っ黒の手打ちパスタ。
お歯黒になる事を気にせずに、イカ墨の風味、美味しさを楽しめます。


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イカ墨のリゾット
(Risotto al nero di seppia)

リゾットも、美味しいですね。
こちらも、レシピ集で、是非、ご紹介したい一品です。

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イカ墨のスパゲッティ・トマト添え
(Spaghetti al nero di seppia con pomodoro)

シチリアでは、イカ墨パスタ、イカ墨のリゾットの上に、
刻んだトマトや、トマトソースを、ちょこっとのせる事も、あります。

これは、シチリア東部にある活火山・エトナ(Etna)をイメージしていて、イカ墨が、エトナ山の黒い溶岩石の山肌を、トマトは、噴火している様子を表現しています。
エトナ火山と共に、生きているシチリア人ならではの、盛り付けです。


そして、こちらは、ヴェネツィアの郷土料理のひとつ。
イカの墨煮です。

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イカの墨煮・白ポレンタ添え
(Seppia con il nero e polenta bianca)

イカを、イカ墨と魚のブイヨンで、コトコト煮込んだもの。
これも、美味!
ただ、この黒さ、お歯黒は、必須です。

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イカ墨について、書かせて頂きました。

ご紹介したイカ墨パスタ2種類も、是非、作ってみて下さいね。
今後も、機会を見て、イカ墨料理をご紹介しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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