見出し画像

「妻と仲良くなる方法論」

私が「妻と仲良くなる方法論」を研究しているのは、私のこれまでの数限りないあやまちと「女性と子どものアレルギー医」をしていることに、大きな関係があります。

1.アレルギーが良くならない人

私の息子はアレルギー性鼻炎がとても酷く、人の2倍の薬を飲んで、2倍の量の点鼻薬を使っていました。

しかし、妻が色々なところに連れていっても、4歳の時にはすでに「これ以上やれることはない」と言われるしまつ。しかし、鼻の詰まりで息子は夜中に泣いて起きる状態でした。

その当時、アレルギー医になりたてだった私は、親として「本当に治療方法はないのか?」と思う反面、専門医が言うならと諦めの気持ちから泣きたくなっていました。

この時には病院で医師から辛く当たられて「もう病院には行きたくない」と言っている妻に、「そんなこと言ってもしょうがないだろ」と毎日ケンカしていました。

そう、この時は身の回りのだけが全てだと信じ、「子育てが妻のワンオペになっていること」「妻と話し合ってなかったこと」に全く気が付いていませんでした。

2.表にでない情報は、医療でもある

ところが、勉強に行ったイタリアでのヨーロッパアレルギー学会では全く治療が違っていることに気が付きます。

ヨーロッパやアメリカでは、アレルギー性鼻炎の原因であるダニアレルギーは、注射や舌下治療で完治させる「ダニ免疫療法」がスタンダードで、健康保険が適応されており、むしろこっちが普通であることを知ります。

私は日本でも同様の治療を探しましたが、2012年の日本では「ダニ」ではなく、他の国よりも5~6割程度の効果しかない「ハウスダスト」しかなく、さらにはこの薬でさえ治療している施設はほどんどありませんでした。

ヨーロッパやアメリカと同じ薬を輸入して治療しようとしましたが、3ヶ月以上はかかる事がわかったので、まずは輸入をしつつ、息子のダニアレルギーを日本にある「ハウスダスト」で注射の治療を開始しました。

すると、5割程度の「ハウスダスト」でも、治療開始1ヶ月後には、鼻つまりや痒みで夜中に起きることは一切なくなり、慢性的な寝不足で機嫌の悪かった息子や家族もイライラする事はなくなり、明らかに息子の鼻は良くなっている事を実感しました。

そして、3ヶ月後には今まで悩んでいた症状を忘れるくらいになり、今まで大量に使っていた薬を徐々に減らし始めました。

治療開始6ヶ月後には、鼻つまりも鼻の痒みも全くないままに、月1回の注射以外、薬は必要なくなりました。

大量にあった毎日の薬も必要なく、鼻の症状がない事で寝不足がなくなり、こんなにもストレスがなくなるとは思ってもいませんでした。

アレルギーを掲げているクリニックは多いですが、健康保険の仕組みでは仕方ないこととはいえ、我々アレルギー医が行っているようなアレルギーを根治するような治療や検査を行える医者は全体の0.5%程度もいません。

身の回りにある治療と本当の治療は大きく違うことを知った私は、その後もアレルギーの勉強のために、国内外の学会を一人で回り続けました。

さらには、学会で知り合ったアレルギー医達にお願いし、休暇を取って日本全国のアレルギー病院を勉強して回り、アレルギー医同士で患者さんを紹介し合いました。海外のアレルギー医たちともディスカッションをし、他のアレルギー医達と関係を作り続けました。

その結果、ほとんどのアレルギー治療が、専門と一般では全く異なることを知ります。

アトピー性皮膚炎は治療していれば症状はないのが普通、もしろならないように妊娠中から予防する時代。気管支喘息で今どき入院する子はいない、食物アレルギーは早くから治療しないと治らない、海外ではハチやネコアレルギーも注射で治療している・・・

ごく一部のアレルギー専門病院でしか行っていなかった治療を身につけるにつれ、私の治療範囲はどんどん広がり、私の患者さんは、他のアレルギー専門病院と同じく、飛行機や泊りがけで受診する人達が普通になりました。

しかし、これら効果がものすごくあるアレルギー治療でも、ごく一部に治療効果があまり良くない子ども達が出てきました。

「なぜ?」

治療効果が低い子が来るたび、詳しく話を聞いているうちに、ある傾向に気がつきます。

良くなる子は、父親が受診の送り迎えをし、次回までに足りなくなる薬などを把握しているのに比べ、ほとんどの良くならない子どもは、父親は受診に来ず、来たとしてもすべて子ども任せで無言、「妻がやっているからわからない」を繰りかえしていました。

3.母親は頑張ればワンオペ育児できてしまう

一方、1日60人以上の診察、年間250件の入院を私一人、看護師と栄養士のチームで診ていく中で、患者さんの人数が増えれば増えるほど、良くなる子ども(人)とならない子ども(人)の差がどんどん明確になっていきました。

確信を得た私は、その後も調査を続け、父親には3つのパターンがあることを割り出しました。

①「~と~はダンナさんが、やってくれてます」

 仕事などライフスタイルをマネージメントする積極的な父親

②「ダンナはいれば手伝いますが、基本家にいません」

 育児には出来るだけ参加する努力的な父親

③「ダンナは全くやりません。私1人でやってます」

 日本人の平均的な父親(たぶん)

つまり、良くならない子の父親は③で、通院している大多数の良くなる子の父親は①でした。

通常の子育てだけでも激務なのに、2人以上子どもがいて、ワンオペ育児、習い事も連れて行っているとなれば、この母親は「神」と言っても過言ではありません。

アレルギーが良くなる子の家庭は、「夫婦の仲が良い、さらにキーパーソンは夫」であることが最も大事な要因の一つだったのです。

治療効果についての医学的要因の検討はされていても、夫の育児への協力度は検討されていないことに気が付いた瞬間でした。

3.約2ヶ月の休暇を、育児に当ててわかったこと

子どもの世話を優先し、自分の時間は一切なく、次から次に出てくる子どもからの要求に、時間がどれだけあっても足りないのがワンオペ育児。

これを理解する以前の私は、なぜ妻が怒り出すのかわからないことも多く、「なぜ、子どもの前で自分の感情をコントロールできないのか?」とよくケンカしていました。

また、「なぜ、取り留めのない話をするのか」、「それが問題なら、AとBの解決策がある。けど、全体の状況を考えるとAしかないけど?」など、なぜこちらの言っていることがわからないのか、問題を解決できないのかが全く理解できませんでした。

大声で口ケンカの日々、子どもたちも精神的に未熟かつキレやすくなり、またケンカの毎日でした。

何度離婚の話が出たか・・・

しかし、「夫婦の仲が良い、さらにキーパーソンは夫」であることが知った私は、これまでケンカばかりだった妻との関係を改善すべく様々な本を読み、論文を取り寄せ、男女の思考の違いや父親が子育てに与える影響を調べ、トライ&エラーを重ねました(特にエラー・・・)。

妻が次女を妊娠したことをきっかけに、積極的に家庭内に貢献することを決め、1ヶ月づつの合計2ヶ月の休暇を家事と育児に費やし、オムツ変えや送り迎えを行い、食器洗いや洗濯物を干すなどの名もなき仕事を分担しました。

私は、男性と女性は全く考え方や行動が違うことに気が付くのに、とても時間がかかりました。

感謝の意を口にするだけで、妻の機嫌は良くなる。

こんな単純なことすら知らなかったのです。

「夫によって夫婦の仲が良くなる、それはダイレクトに子どもに影響する」

noteでは、そんな私と妻の取り組みや、子ども達の変化、もっと早く知っていれば大きく生活が変わったであろうことを書いていきたいと思っています。


アルバ アレルギークリニック http://alba-allergy-clinic.com/


この記事が参加している募集

自己紹介

子どもに教えられたこと

皆さまからのサポートは、オンラインサロン設立費にさせて頂きます。