2020年12月 福生、横田基地界隈 PHOTO SESSION CRP 432PAGE
FUSSA TOKYO JAPAN DEC.2020 BY 13PHOTOGRAPHERS
2020年のクリスマスの翌日13名があつまり、FUSSAを撮影した。
ひとり30点、432Pの大作。同じように歩いていて、同じようなものを撮ったり、全然違うものを見てたり、かなりできのいい写真集になったと思う。
なので、僕が撮った1967年から1975年の間に撮った、モノクロの米軍ハウスあたりの写真も巻末に20ページぐらいつけました。
ダウンロードしたら、iphoneは、キンドルアプリが必要ですが、パソコンなら、Kindle Cloud Readerから直接ご覧になれます。
1月22日pm5時～24日pm5時まで、￥０でダウンロードできます。
もう写真を始めて何十年になるけれど、スナップ写真の醍醐味は時間の経過だと思う。そこではさしてテクニックを使わず、目の前の光景をありのままとは言わないけど、ごく凡庸に撮ることに意味があるのかもしれない。撮影の時にテクニックやコンセプトを塗り込むより、時間が勝手に深みを与えてくれる。だから同じ場所を何度も撮影することが好きだ。都内だったら銀座や上野、浅草、新宿、渋谷、原宿、青山などなど、何度同じ建物、同じ路地を撮ったろうか。そういう意味でも横田基地のある福生は、時々無性に行きたくなる場所だ。
最初に訪れたのが1967年か8年、大学1年生の冬だった。正確な日にちは覚えていないけど、僕が18歳の冬ということになる。ホンダN360を買ったばかりの友人と福生に向かった。そこにアメリカがあるからだ。
1955年、僕の子供時代が始まる。それはテレビ黎明期、周りは全てアメリカに囲まれていた。
「スーパーマン」「ディズニーランド」「ヘッケルとジャッケル」「ララミー牧場」「名犬ラッシー」
「名犬リンチンチン」「パパはなんでも知っている」「ビーバーちゃん」「ローハイド」etc.etc.
テレビドラマはアメリカ製だったからだ。僕の頭はアメリカに洗脳された。
小学校4年ぐらいになると「月光仮面」のような日本製のドラマが多くなってきたが、
それでもアメリカは理想の国であることを忘れなかった。
1960年、安保の国会周辺の騒乱は、「安保反対」というスローガンだけが聞こえ、
樺美智子を圧殺したのは日本の国家権力だと思っていた。
アメリカのイメージが壊れたのがケネディ暗殺だろう。
国府台国立病院前のバス停にならんでいるとき号外で知った。
1967年、大学に入り写真を始めた。その冬、福生にカメラを持って出かけた。
16号線に沿ったフェンスと向き合う街はひっそりとしていた。時折輸送機の爆音が響いていた。
路地を入ると白いモルタルの米軍ハウスが住宅街然と並んでいた。
日本の住宅地の景色ではない。ただどの建物も安普請で質素に思えた。
子どもたちが7,8人で遊んでいた。僕らがゆくとすぐに打ち解けた。
彼らは流行りのステップを踏んでくれた。日本人にないリズム感だった。
窓からハウスの中を覗くと、そこは紛れもなくアメリカだった。
部屋、大型の冷蔵庫や家具。テレビで知ったアメリカの生活がそこあった。
なにより驚いたのが子ども部屋だ。いっぱいにおもちゃが溢れていた。
あんなに多くのおもちゃに囲まれているアメリカの子供の幸福さに嫉妬した。
そう僕は何も見ていなかった。彼らの父親がベトナムで戦っているかもしれない。
いやこの米軍基地で働いているとしても、リアルな戦争の真っ最中であるという想像力を、
その時の僕の心には存在していなかった。
1968年、世界中でスチューデントパワーが爆発して、世界中で反戦運動が盛り上がった。
僕は毎日、安保反対、米帝粉砕を叫んでいた。愛するアメリカとの板挟みだ。
アメリカは世論に押されてか、泥沼のベトナムから撤退する。
1970年になると、基地周辺の米軍ハウスからアメリカ人が消えていった。
そこに日本のミュージシャンや若者たちが住み始める。ハウスは次第に廃墟化していった。
その頃、六本木にあるニコラスというピザ屋が横田にもあることを知った。
ニコラという名前になっていた。
簡素だけれど広々とした店だった。
僕はガールフレンドと、クリスマスのたび、車で訪れた。
21世紀になってもう20年も経つ。
横田基地の周りは以前より賑わっているように見える。
ただこういう事態でクローズしている店が多い。
その寂しさは、僕が始めて来た頃の福生みたいで不思議な気持ちになった。
2020年12月 横木安良夫
BY 13 PHOTOGRAPHERS
HIROMI WASA HIROMICHI OKUYAMA KEIKO IKARI
SHINICHI HASHIMOTO TAKAO NAKAI TERUMASA ARIMA
TERUYO FUKUMOTO YASUHIRO ITO YUICHI OIDE
YUKIKO SUZUKI YUTA HIRAKUBO
YOSHINORI KAMEI ALAO YOKOGI
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