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【#0】アララ、始めました

某W大学近くの某喫茶店で二人の男が話し込んでいた。

その様子を目撃した店員Tはまだその喫茶店でバイトを始めて二週間しか経っていなかったが、彼らのテーブルの灰皿を取り替えるという仕事をこなしているだけで、すでにその二人の顔と名前、友人付き合いから所属していたサークルの活動、さらには就職活動の細かい状況まで知っていた。そして何より、俯きながらタバコを永遠に吸い続ける二人が、目先の飲み会と目処のつかない数ヶ月間の予定に挟まれていること、その無情な状況において発散しようのない欲求と苛立ちを日々抱え込んでいることを、彼は知っていた。
それほど二人はTのバイト先にやってきたし、何時間でも居続けた。そこに来ることが彼らにとって一日の目的なのではないかと思えるほどに。
以下は、Tが1月19日に盗み聞きした二人の会話の内容である。もちろん、Tなんて店員は存在しない。

「昨日の夜さあ、ふと思ったんだけど」
「うん」
「文才ってのはさ、結果論じゃんか」
「はあ」
「ふくらはぎがパンパンで、2メートル超えてる外国人に対して、あいつはバスケの才能があるんじゃないかっていうのは分かるだろ。でもさ、あいつってうまい文章書きそうだ。原稿用紙渡せば間違い無いぞ。ってやつはなかなかいない」
「なるほど」
「そうするとさ、文章ってのは書いてみなきゃ分からないわけだよ」
「たしかに」
「まあ、全部小田嶋隆の受け売りなんだけど。もう少し続けるとさ。その、後付けの文才ってやつには、3つの要素があるらしい」
「うん」
「1つが技術。これは主語とか接続詞とか、勉強すれば身につくやつ。次がアイデア。これが肝で。アイデアが浮かぶか浮かばないかで文の価値が決まる。それについて書くのか!とか、その角度で行くか!とか。バズとか炎上を狙うにしても、何をどの角度でっていうのは共通すると思うんだ。そして最後が、モチベーション。この3つが揃ってるやつは、もとの文才があるか無いかは別として、そう見えやすくなるための最低条件をクリアすることになる。そして、後ろ2つを成長させるには1つしかないって小田嶋は言ってた」
「はあ」
「書くことだとさ」
「なるほど」
「アイデアなんて、テーマを強制されればある程度書けるもんだし、書き続けるうちに眼が鍛わってくるだろ。で、モチベーションの一番手っ取り早いのは原稿に〆切があることだろ。ただこの2つは、物書きとして飯を食ってるやつと違って、素人には縁がないんだ。普通に暮らしてたらアイデアなんて出てこないし、〆切なんてもちろんない。だけど、書かない限り書く力っていうのは伸びないわけだから、もともと無い腕がもっと鈍っていくわけだよ」
「そうか」
「だから昨日の夜思ったんだよ。書き続けるためにはある程度の枷がいる。自分で書きたいと思って書き続けられるような文才は俺ら、少なくとも俺にはない」
「ふむ」
「だから、枷を作って、書き続けよう。下手でもいいから、書き続けよう。そう思った。で、一番手っ取り早いのは他人とやることだったんだよ。複数人で〆切を共有すれば、それは〆切として機能する。アイデアも、複数人でテーマを出し合えば広がっていくんじゃないかってさ」
「うん」
「というわけで、俺とお前で何かアカウントを共有してだね、、」
「よし、やろう」
「お。よし」


というわけで、
《毎週一本、週毎のテーマで、1600字書く》という自ら課した枷のもと、TAPthePOPで音楽ソムリエを自称する酔狂と、一生流行らない下手くそなブログを書き続ける物好きがnoteを始めることになりました。
アカウントの名前はアララ。特に意味はないですが、練習というか習慣というか、千本ノックみたいな感じで。

面白いと思われるモノを書けるようになる、という目標を大前提として、これから毎週更新していきます。
ようは字数と更新日が決まっているブログです。長い目でやるつもりなので、是非読んでやってください

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