見出し画像

私はコーチングが嫌いなコーチです。

※マジメで一生懸命なコーチは、怒るかもしれない記事です。ご注意ください。

みなさん“コーチング”って知ってます?
最近ちょっとメジャーになってきたような気がするんですが、それでも日本ではまだまだ有名とは言えないコミュニケーションスキル(という名の、人との関わり方全般)のことです。

ざっくり言うと「問題を抱えたクラインアントがうんうん唸って悩んで困っているところにコーチが茶々をいれて思考をずらし、その結果なんやかんやでクライアントの考えが変わって向かいたい方向へ進む。コーチはそれを眺めながらへーって言う。」これがコーチングです。あくまで私の定義ですけど。


で、ですね。
私、コーチングの資格を取って1年半になるんですが、まあコーチングが嫌いなんですよ。
なんで嫌いかっていうと、”いまだにコーチングがなんなのかわからない”から。

だって、コーチにはクライアントの進みたい方向やより良い方向なんて全然わかんないんですもん。
「好きだけど、別れたいんです」とか
「しんどいので離れたいんですけど、残される親がかわいそうで」とか
「稼ぎたいけど、お金をもらうのが怖いんです」とか。
なにそれどうしろって言うの?みたいな悩みを持って、いろんな人があるのところを訪れます。


が、正直「知らん」という内容ばかりです。
当たり前なんですよ。だって他人の人生だもの。どんな話をされたって”唐突”だし”複雑”だし、”重たい”んですよ。
でもあるは余計なことに首を突っ込みたがるタイプなので、「なになに?」「それでそれで?」「ねえ今どんな気持ち?」って聞くわけです。

そうすると、なぜかクライアントさんたちが一人で勝手にすっきりして帰っていく。
なにそれって感じですほんと。何しに来たの?あるの顔見に来た?もっと見ていいよ。お茶でも飲んでく?


と、ここまで読んで、きっとあなたは思ったでしょ。
「あるってやつはなんて冷たいやつなんだ!この人でなしめ。こんなやつにコーチングなんて頼むもんか!」って。
でもね、たぶんあなたは大きな勘違いをしてます。
ほかの人の人生に対して、私たちは責任なんて取れないんですよ。

せいぜいできて”影響を与える”くらい。
「君を幸せにするよ」なんてのは「君を幸せにする努力を僕はするよ(ただしそれで君が幸せになるかはわからないけど)」程度なんです。


いいですか。
人生でコントロールできるのは自分のことだけです。
扱えるのは、動かせるのは、変えられるのは、自分のことだけです。
でも、一人じゃ自分すら変えられないから、みんな本を読んだり友達とおしゃべりしたり、ケンカをしたり映画を観たりあるのところに来たりするんです。


話がそれました。
言ってしまえば、コーチングで変えられるものなんてありません。
別の景色を指さしたり、見ている角度を変えたり、自分じゃ見えないあなたの見た目についてそのまま伝えたりすることはできますが、結局のところ変わるのはあなた自身の力によってです。


でも、あると話せばあなたは変われます。
なんでかって、あるはあなたと全く違う人生を生きているから。そのことを知っていて、それの何を伝えようか、どういう方法で伝えようかを常に考え続けているから。
あなたのことを知りたいと心から願っていて、面白そうだと興味を持っていて、根掘り葉掘り聞き出してやろうと手ぐすね引いて待ち構えていて、何を聞いても「へー」くらいのテンションでいられるテキトーさを持っているから。

そういう変わり者があなたの周りにいるなら、あるのところにくる必要はありません。

でももしそういう変わり者があなたのそばにいないなら、あると話したら何か面白いことになる可能性はあります。



でなんだっけ。そう、あるはコーチングが嫌いっていう話です。
ある自身は、わかりやすくて筋が通っていて理論がきっちりしていて原因と結果がストレートにつながっていることが好きなんです。数学みたいな。
だからコーチングはほんっとうに嫌いです。苦手なんです、感覚的に。

話し始めるまで何もわからないし、話し終わっても何もわからない。でもクライアントさんは何かを掴んでいく。あるは置いてけぼりです。


じゃあなんでそれを仕事にしているのかというと、コーチングがわからないからです。知りたいから、興味があるから、わからないということが”もぞもぞ”するから。だからコーチングを続けているんです。

この矛盾が、たぶんコーチングには大事なんです。
あるが思うに、コーチングっていうのは未完の芸術作品みたいなものなんです。ミロのヴィーナスみたいな。

だからきっと「あ、コーチングわかったわ」って思ったらそこで試合終了なんです。だから、あるはわかるまで「はあ、ほんとコーチング嫌い」と思いながらコーチングを続けていきます。(そして分かる日は一生来ないかもしれない)


世のコーチが何を思ってコーチングをしているかはわかりませんが、あるから見るとこの”コーチングがなんだかわからない”の部分で躓いている人は結構多いように感じます。
コーチ自身が自分の中で揺らいでしまって悩んでいることもあれば、コーチングをどうやって人に伝えようかを悩んでいる人もいる。

でも別にいいと思います。定義なんかしなくて。ていうかできないし。諦めましょう。


大事なことはコーチング自体じゃありません。
あなたがコーチングを通して何を学んだか、何を得たか、何が変わったか。そこです。それは事実としてガッチリ掴んでいるはずです。
それがあなたのコーチングの売りです。

だからコーチングなんてさほど大事じゃないんです。きっかけの1つです。ただしあなたがコーチングで変わったのなら、それは確実なことです。だからそこを伝えていきましょう。
そうしたらきっと、変わる前のあなたと同じ状況の人が変わりたくてあなたのところに来ます。それをあなたは「へー」って言って眺めていればいいんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?