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9月29日 神宮外苑の再開発への私見

9月29日ですね。

神宮外苑の再開発問題が色々と話題になっています。

最近リリースされたサザンオールスターズのシングルの内容がまさにこの問題をモチーフにしているようです。
また、今春に亡くなった故坂本龍一氏も最晩年までこの問題に取り組んでおられたとか。

私も再開発には反対の立場です。
もちろん、今回の再開発の話が内苑の木々を伐採することでもなく、今回の話の背景に内苑の森をどう維持管理するかという切実な費用の問題があることも承知の上です。

この辺りの話は、こちらのブログが分かりやすいと思います。
https://note.com/keizokuramoto/n/n4e173264d7be

私が反対する理由には情緒的な理由が多少入っています。それは率直に認めます。

私は、社会体制やしきたりの変更はどんどん進めれば良いと思います。古くなった制度は時代に合わせて変えていくべき。時代に合わない制度を情緒的理由で残すことには反対です。
社会体制やしきたりについては、そもそも変わることが前提です。人と人の関係性はそもそも変化するもの。たとえ万が一間違えたとしても戻せば最小限の影響ですみます。

しかし、この外苑界隈の再開発は、一度変えてしまえばもう取り返しがつきません。

もちろん、環境もまた、常に変わっていく事は事実です。

今も外苑のあたりには球場や秩父宮ラグビー場が建てられており、明治の頃の状態とは遠く隔たっています。今更その状態に戻せとかいうつもりはありません。

私の反対は、いつまで東京をいじくれば気が済むの、という点にあります。

要は東京をどういう都市にしたいのか、日本をどういう国にしたいのか、という話です。
東京のあちこちを節操なくいじくりまわすことで、常に変化する都市を目指すのか。それとも、変わりゆく都市の中に普遍となる聖域を保持する伝統を選ぶのか。

そういう伝統的な不変の場所は皇居や明治神宮内苑があれば十分。そんな意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
ですが、逆に言うと、もう東京都はそれぐらいしか不変の場所が遺されていません。浜離宮とか後楽園とか。

私はもう、日本はかつてのような経済繁栄は望めないと思っています。人口が減る一方で、繁栄を享受したことで国民からハングリー精神も失われています。

そもそも資源に乏しい国である以上、わが国がこれから国際社会に貢献できるとすれば、識字率から来る頭脳と培ってきた文化や歴史とわが国の人口動態が社会に与える影響のモデルケースを国際社会に提供する国でしかないと。

とすると、海外からのインバウンド旅行者に向け、日本という国をどういう立ち位置で売り出すのか。
観光立国なのか、それとも経済大国の夢よもう一度なのか。

その議論がまだわが国の中で煮詰まっていないのに、デベロッパー主導で開発を進めているから反対運動が起こるのではないかと思います。

わが国に可能性があるとすれば観光だと思います。極東の島国という地理条件からくる独自の文化と治安の良さ。
これはまだまだ有効だと思います。

もし観光立国を目指すのであれば、今回の再開発は明治以来の景観をむざむざと潰すことになります。

今回の再開発の結果、明治の頃と似たような景色を再現する。そうデベロッパーは語るのかもしれません。

ただ、もし似せられたとしても、その景観には令和にリフレッシュした注釈がついてまわります。明治から不変の場というキャッチコピーが使えなくなります。
私はそうなるぐらいなら不変の地を残しておくべきだと考えます。

ただし、明治神宮の財政問題は由々しき問題です。今回の件で再開発が頓挫した場合、誰が内苑と外苑の維持管理を行うのか。

もし再開発をやめさせるのなら、私たちも等しく負担は担っていかなければ。例えばクラウドファンディングとか寄付金とか。国立科学博物館が先日行ったように。

反対だけしてあとは明治神宮の自助努力に任せる、というやり方であれば再開発した方が良かったという結果になりかねません。

ありがとうございます。 弊社としても皆様のお役に立てるよう、今後も活動を行っていこうと思います。