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無剣闘日記一日目:大阪と言えばTACO

涼しい……いや、寒いか。

冷たくて乾いた空気を肺一杯に吸い込み、少し震えた。快適な室内と室外の温度差が激しい。温帯に来たって感じだ。去年の11月から半年も経てず、おれは再びこの国に立った。遥か西に。

~無剣闘日記~
Days without gladiator

今度は正真正銘の一人旅だ。気を遣わねばならない家族と、都合のいいイマジナリーフレンドもいない。一人で異国、本物の孤独。これ去年おれが望むものだ。社用携帯を上司に預け、完全自由な六日間、じっくり楽しんでもらおう。

今回利用したフィリピン航空は機内食よし、サービスよし、価額よしだが、テレビが一切なかったためひどく退屈していた。フライトモード下でも正常に動けるMush dashがなければ焦慮で爪がひどいことになっていただろう。小説でも持って来ればよかった。荷物を拾い、税関から出たころは午後三時半ころ。揺れる電車の中でおれはTwitterアプリを開き、適当にいいねをつけて、書き込んだりした。

軽率に始めたがいいね数がとんでもない事になった。このNOTEを書いてる時点は未だに語り終わってない。このツイートでフォロワーが増えたものの、当アカウントのカタツムリ流派めいた更新速度に対して申し訳ないと思いつつも、ウィッチャーはやはり各方面から好かれるコンテンツだなと実感した。

World teahouseを降りて、地下鉄Midousuji-muscle lineに乗り替え、数駅のあと、この数日泊まる場所に着いた。近くのコンビニで危険飲料を購入し、チェックインを済ませ、部屋で一息。

ところがすぐに酔い始めた。仕方ないよな、今日は六時起きて空港に赴き、飛行中のたいして寝れず、しかも日本と一時間の時差があるものだ。しかしこれうめよな。日本でしか飲めねえぜ?

しばらく休めた後腹が減ってきた。シュマグをマフラー代わりに首に回し、ジャケットに袖を通す。いざ、タコベルへ。

🌮

つい最近は梅田店が開幕し、これで大阪のタコベルは二店舗になった。今回は道頓堀店を選んだ。大阪は初めてではないが道頓堀は行ったことないからね。しかし金曜夜だからか?人多いなおい。たこ焼きの店がめちゃ並んでいる。そんなに美味いのか?観光客が邪魔でなかなか道を進めない……あっ、おれも観光客だった。

Google map頼りに、タコベルのあるビルにたどり着いた。道頓堀店は2階か。混んでいないことを祈る。階段を登り、自動ドアをくぐる。目の前に広げたのは道頓堀の喧騒とはまったく別世界、POPな洋楽と明るい照明、そしてなにより焼けたトルティーヤの匂いで構成した、快適な空間だった。地上の世界と比べて客はそれほど多くない。ではさっそく、コーン・ウォーを起こしましょう。

流石にトルティーヤのチップスまで食べたらコーン摂取過多で腹が持たないとも思うのでフライズにしたが、量を見た時はビビった。そんなに多いとは思わなかった。仕方ない、完食してみせるさ。

ところできみはコーン・ウォーを知っているかい?それは2018年に開催していた逆転噴射小説大賞におれが投稿したタイトルの一つ。タコスとブリトーをめくり、戦火に陥ったメキシコを描いたバオレンス小説さ。長い間きのこたけのこ戦争を続けて来た日本のパルプスリンガーたちからシンパシーを感じたようで、結構好評だった。続編も出ている。読もうね!

そして完食。

美味かった。初めてブリトーにライスを入れた奴にノーベル賞を与えるべきだと常に思っている。満腹で大満足だった。コーンの神に感謝し、ゴミをバケットに打ち込んで店から出た。Next stop、Rome。

🌯

注意、これからの内容は剣闘禁断症状によりおかしな表現が含まれます。実際人間を含むすべての動物への傷害行為及んでいなかったのでご安心ください。

「ケントウ……グラディエーター……コロッセオ……BLOOD&SAND BLOOD&SAND BLOOD&SAND BLOOD&SAND……」

 ローマを探し、アクズメは夜の日本橋を彷徨った。リージョン限界によってこの領域での剣闘行為が不可能と知っている、しかし剣闘士としての血がざわめき、血と砂を求める。この領域のグラディエーターの腕がいかなるものか、せめて見るだけでも……おれにコロッセオの歓声と、swordがamorにぶつかる音を聞かせてくれ……

「こんばんは~。お兄さん、もしかして剣闘できる場所探しています?」「ARRRRRGH!」「うおっ!?」

 キャクビキ・メイドに話しかけたられ、そのキーワードがアクズメの抑えていた剣闘禁断症状による暴力衝動のトリガーを引き、メイドにタックルを仕掛けた。

 しかしメイドの一瞬驚いたものの、すぐさま前傾姿勢を取りタックルを受けた。ズガガガガー!革底がアスファルトと摩擦し、削られていく。

「いきなり何すんねん!」「ARRRRRGH!」「聞く耳持たんかい!」

 メイドはアクズメの両脇に腕を伸ばし、胸の前にロックを決めた。そして足腰に意識を送り、タックルの運動エネルギーを利用し……

「ARRRRRGH!?」

 持ち上げる!68㎏の男を!

「頭冷やせ!」

 そのままテコの原理で再び前傾し、アクズメを控えめに地面に放った。

「ぼわっはっ!ふぅ……ふぅ……はっ!?」

 俯けに叩きつけられてアクズメは数度の呼吸のあと正気に戻り、まるで夢から覚めたのように目を巡らせ、状況を把握しようとした。

「僕は、一体……」「大丈夫か、お兄さん」「あっ、はい」

 メイドが伸ばした手を、アクズメは素直に掴んで立ち上がった。

「あの、もしかして僕がなんかやらかしました……?」「ええで、どうせ何らかの禁断症状やろ?あたしはナードとの付き合い長いから慣れとる」「そ、そんなんですか、どうもすみさせん……」「ほな仕事とに戻るわ。あっ、ちなみにコロッセオがあっちな」

 メイドの指が指す方向へアクズメは目で追い、そして驚嘆した。

「ワーオ」

 剣闘ができなくても。剣闘士たちのプロマイドを見るだけでアクズメの心が満たされ、そのまま元気が出て帰り道に居酒屋でたこ焼きを食べてから帰ったとさ。今日はTACOとタコもコンプリートしたよ。

(二日目に続く)

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