ZITA-BATA旅行記 4日目 Ultimate ZITA-BATA Day①
朝、頭痛とともに目が覚めた。サイドテーブルにJimbeamの瓶とショットグラスがある。昨夜は居酒屋で飲み足りなくてコンビニで買った奴。それから部屋で飲んでいるうちに寝てしまったみたいだ。
「Fuck……」
毒づき、だるい体を起こし、スマホをチェックする。Shit、やはり充電を忘れている。つーかもう八時じゃねえか。やばい、あと30分でプリキュアが始まってしまう。
「Fuckfuckfuckfuck……」急ぎに歯を磨き、着替えて部屋を出た。30以内に朝食を済ませないと。
一時間後
いやぁ、今日はプリキュアが凄かったね。ガルオーガとキュアセレーネのタイマンでいきなり作画は覚醒したね。まどか先輩の鋭い眼差しがかっこよすぎて堪らん。今年は彼女を推すと決めた俺の目に狂いはなかった。強固のエゴと戦闘力を併せて持った、まさに真の女よ。
さて第一クエストはクリアした。明日は午前中に成田から発つので今日は実際最終日。悔いのない一日にしたい。
東京文学フリーマーケット
平和島、Hey war島。つまりここは戦場だ。実際貿易センターで戦いが始まっている。各地から集まったガンマンたちが練り上げた自慢の弾丸……Bulletを机に陳列して俺を待ち構えている。それが文フリだ。俺は自分の文章が超絶面白いと自信があるが、こいつらはデータを、テキストを物理的存在にするという階段を踏み出した。俺より一歩先に行ってる。リスペクトしちゃうぜ。いや待てよ。
会場にC-4を何個設置すればライバルを大勢排除できるのでは?
またこんなこと考えてしまった。なんらかの催事にテロを仕掛ける創作物はもうたくさんだ。それより我が友、桃之字氏はどこにいる。あっ、そこか。
「こんにちはー」
「あっこんにちは!来てくれたんですね!」
机にはヒーローアマガサのイラストと、新刊と既刊を何冊が置かれている。
すこいな。これ全部一人でやったのか。
「とりあえず、アマガサの既刊と新刊を一冊ずつください」
「はいわかりました。キーホルダーいらないです?」
キーホルダーか。うーんキーホルダーねぇ。正直にいうと付けるところないよな。もう湊ォキーホルダー持ってるし。ここは正直の気持ちに従う。
「すいません、いらないです」
「そっか、そうだよなぁ……何に使うねんって話だし。はい、本ね」
「ありがとうございます。他に僕の知ってる人が会場にいますか?」
「ふーん、森とーまさんぐらいかな?あとでアイサツしにいくんだけど」
森とーまさんか。逆噴射小説大賞をきっかけにフォローしたけど、彼の作品は回転寿司屋に来たおっさんが横文字に文句を言うあれしか読んだことないな。
「わかりました。では会場を見回ってきますんで」
「あとでワイフが来るかもしれないので良かったらまた寄ってね!」
彼はそう言い、Bluetoothキーボードでタイプ作業を開始した。さすが毎日更新者、無駄がない。
俺は隼のように人を避けながら会場を歩き、獲物を求める。しかしブースの後ろに鎮座するガンマンもまた鋭い目で俺を睨んでくる。愛想よく微笑んで、「よかったら見てみませんかー」と話しかけてきても、こちらが警戒が緩んだその隙に銃で俺の脳天はぶち抜かれる。慎重しなくては。
そんな俺の目を惹いた次の獲物はこれだ。
アイドルの不作法(鼎立哲子):
存知の通り俺はアイドルを現代の剣闘士と認めて以来彼らのことを尊敬している。作者個人がファンとして活動してきた経験から得たアイドル論文な感じ。REALがある。これを読めば剣闘小説の解像度がさらに上がるのでは?と思って購入。となりは購入特典の百合小説です。
しかし色んな本があるよなぁ。小説以外に詩集、写真集、料理本など、明らかに青少年のなんかによくない表紙の本もある。だいじょうぶ?と思っている内に良さげの本を見つけた。
巨人の復活(ナナシイ):
巨人が出て人がいっぱい死ぬ。俺好みのテーマだ。何よりこの中身よ。
全 角 文 字
巨人の緩慢にだがすさまじい破壊力を秘めた動きをここまで完璧にしている!これが意図的にやっているなら天才だ。巨人以外に短編小説三つ含まれている。
よしのってきたぞ。このイベントの歩き方は掴めて来た気がする。次はこれだ。
聖なるもの(八束):
東アフリカを舞台に、義肢を授けられた女戦士の物語だ。表紙はとても美しく、一目で購入すると決めた。実際本を手に取ってみるとさらに驚いた。こ表紙、特殊のインクを使ったか、ベルベットの感触がする。とても心地がいい。ページ数も商業文庫本並みに厚く、字が小さめだ。これは大作の感じがする。いい買い物だった。
そろそろ森とーまさんのところに行ってみるか。noteで記された情報を頼りに、あまり飾り気のないブースにやってきた。あれが森とーまさん?女性?なんかイメージと違う?ちょっと遠くから見よう……机の上に折り畳んだA4サイズの紙束がいくつある。タイトルは……ゾンビ使いの弟子だ。間違いないわこれ。
さてどうするのものか。ここは名乗るべきか?いやしかし回転寿司しか読んだことねえよなぁ。「始めまして森とーまさん、アクズメです。回転寿司小説よかったです!」うーん、なんかCOOLじゃない。ここは穏便に一般来客A・Kで通していこう。
俺「……(スっとブースの前で立つ)」
森さん「どうぞご覧になってくださーい」
俺「……これ、いくらですか?」
森さん「無料ですよ」
俺「(ハァ?マジで?代表作でしょう?無料提供なんて本当にいいの?ブッダなの?)そうですか。では一冊をください」
森さん「ありがとうございましたー」
ふぅ、緊張したぜ。
ゾンビ使いの弟子(森とーま):
恐縮ながら未読です。フォロワーの何人かが絶賛したので多分面白い。
ここで一回桃之字氏のブースに戻った。
「ただいま」
「お帰りー。収穫はどうです?」
「すごいやつがいるもんですよ。例えばこれ」
俺は買ったばかりの聖なるものをみせた。
「ワオ……質感!」
「もう個人生産の領域を越えてますよこれ。あそこにあるからよかったら後で見に行ってね。じゃあ、僕はそろそろ行くので」
「もう行くんすか。午後は何をする予定です?」
「Switch買いに行くとか。観光客特権を使って」
「あっ免税か!?いいな~」
「ワイフさんはまたきていないんですか?」
「そうすね。昨日テキーラ飲ませ過ぎたかも」
女性にテキーラを飲ませるとは、見かけによらずBAD BOYだわ。彼とnoteの海で再会と約束したあと、俺は貿易センタービルを出ようと出口へ……まて、あれはなんだ。
出口の近くのブースに、チャードルを被ってローブを纏ったムスリム姿の女性居た。俺の興味が強く惹きつけられた。一体どんな本を出しているんだ?
イラン、夏 写真×短歌×コラム(鈴木智子)
俺を狙ったような内容だった。
「これ一冊ください」
「ありがとうございます。あの、試しに見なくて大丈夫ですか?」
「はい大丈夫です。イランにはとても憧れているので」
イランに憧れている、それは本当だ。ペルシア帝国、そしてヤギ。すべてがヤギなのだ。市場で出来たてのヤギの串刺しを齧りたいし蒸したヤギの脳もたべたい。
なにこの紫色の柑橘系果物。最高にクール。文化も気候も全く違うところに来た気分だ。
以上が東京分フリでの収穫だ。感想を書きたいところだが俺は本を読む速度がクマヌシが1キロメートルを歩くより遅いので待っていてくれ。
東京文学フリーマーケット、悪くなかった。最初はどうせ今の時代じゃ本を読む人が居ねえしゲストより参加者のほうが遥かに多いだろと思ったが、12時頃は歩くのに少し困難になったぐらい混んでいた。物理書籍はしばらく滅ぶことがないようだ。
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