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灰汁詰めのナヴォー

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2021年11月の記事一覧

盲人と象と怒り

むかしむかし、とあるところに王国を治める国王がいました。暇を持て余している国王は突然、とあるアイデアを思い付きました。

「大臣よ!象と六人の盲人を召集せい!朕の名を後世永久に残す名エピソードを思いついたわ!」

王令は絶対です。大臣達はテキパキ働いて、象と六名の盲人を宮殿に連れてきました。

「盲目の者達、ここにおる象という生き物に触れ、それが何の形しておるか朕に教えたまえ」

困惑しながら、盲

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炒飯神太郎④

「ちょっとおばあさん!?ダメだってベイビーをこんなに乱暴に扱っちゃ!」
「鈍くなちまったかおじいさん。脳に違和感がなかったかい?このガキはさっき思考操作系の術を展開しようとしていたぜ」
「ななっ、なんだってー!? リンゴ飴じみた愛らしい赤子は実際その心に邪悪な思惑を秘めていたとは!さてはもものけの類か!純朴な生活を過ごしている老人を騙すだなんて言語道断!」

そう言っておじいさんはスプーンを捨てて

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汝に罪あり

東京に悪魔に現れた。

山羊の頭、2メートル超えの巨体、6つの乳房、股間に逆さ棘がついたいきり立つ男性器、背中に大きな蝙蝠翼、手にはフォーク状の武器を持っている。悪魔がいかにも悪魔的だった。

明治神宮を更地にしたあと、悪魔は代々木公園を散策しながら手当たり次第に殺戮を繰り広げた。その様子はNHKによって全国放送された。それを見た悪魔崇拝者たちが悪魔の元に駆けつけて跪いた。

「嗚呼!大いなるサタ

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炒飯神太郎③

「おじいさんお帰り。遅かったから先に飯食ってるよ」

家に帰ったおじいさんが見たのは、大きな中華鍋から直接スプーンを差して山盛りのチャーハンを食べているおばあさんでした。そのチャーハンがあまりにも巨大で、山で例えるのなら普通の大盛りチャーハンが富士山でおばあさんが食べているチャーハンが火星のオリンポス山ほどのスケールでした。驚いたおじいさんは口がカァーっと大きく開きました。

「おっ、おぉおばあさ

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