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灰汁詰めのナヴォー

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小説っぽいなにかがあります
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2020年4月の記事一覧

ストライク・バイ・レイン

ストライク・バイ・レイン

ガキの頃は雨が好きだった。

雨の中、レインコートを羽織り、ラバーのブーツを水溜りを踏んで、雨水を跳ねさせてはしゃぐのかが好きだった。

しかし齢が重なり、雨は鬱陶しいと思った。傘という荷物が一つ増えるし、靴が濡れると不快だし、濡れた靴底がタイル床に踏んだ時”キュッ、キュッ”のとげとげしい音はダガーのように私の聴覚神経に突き刺す。そしてあなたは信じるか知らないが、私が雨は自分の意識があるか、それと

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辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

『やっと出てきたかA・K。次はどうする?あの女魔法使いでも呼び出してみるか?』
「いや。レディの手を煩わせるまでもない。新橋を火の海にしたくないしな。この俺が決着をつけてやるぜマラーラー!」
『ほう、イマジナリーフレンドに頼るばかりで自身の戦力がほぼゼロのお前が、このアイキル・ドーの達人に挑むというのか?面白い!』

「Dude、無茶を……」俯きに倒れているダーヴィが心配そうに見てきた。ブルタルモ

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辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

「フプッ、あ、ありがとうございます……」

 ミルクを飲んでだいぶ咳が治まった名札に店長と書いてあった男に俺は腕を貸して立たせた。

「ここは危ないです。早くバックドアから出たほうがいい」
「ンッフ、そうします……貴方は?」
「俺は大丈夫です。急いで」

 店長を俺は破られたショーガラスマラーラーとブルタルダーヴィの戦いが勢いを増し、まるで赤と黒、二つの竜巻が絡み合っているようだ。「俺は……」

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VALUABLE THAN GOLD #ppslgr

VALUABLE THAN GOLD #ppslgr

 緊急事態の正式発令により、普段はアウトロー気質で反体制の言動をしがちなパルプスリンガー達だが、こういう時は意外と道徳意識が高く、皆が家にこもるようになり、普段賑わっているバー・メキシコから人っ子一人もいなかった。

 いや、正確にいうと一人がいた。店中央のテーブル席に腰を掛けている。

 色褪せってねずみ色になったペストの中で黄ばんだ襟なしシャツ、下は同じくねずみ色になった黒いワークパンツ。疵だ

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Aimed by ghosts

Aimed by ghosts

DOOM……スマホの通知音が鳴り、SNSとnoteアプリの動きになにより敏感な俺は素早くポケットからスマホを取り出し、画面に覗き込んだ。またフォロワーされた。今日はこれで三人目。普段なら歌を歌いだすぐらい嬉しくるところだったが……

まず、新規フォロワーのアイコンはデフォルトのアレ、微笑む緑色の顔だった。フォロワーの情報を確認すべく、そのアイコンをタップする。

○○○○さんはゲストです。
ゲスト

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炒飯狩り(チャーハント)記録簿 その一 肉絲炒飯

炒飯狩り(チャーハント)記録簿 その一 肉絲炒飯

普通の大学生、テツロー。彼の正体は現代に蘇ったチャーハン神ーー炒漢であった。これが彼による無慈悲なチャーハン狩りの、その記録(食レポ)である

「ハイドーゾ」「ありがとうございます」

 トンと皿がテープルに叩きつけ、オカミは背を向いて仕事に戻った。

 熱気が上がっているチャーハンに直ぐスプーンを入れず、テツローはまず出来たての肉絲炒飯を観察した。調味料を吸って茶色に染めた米粒の一つずつが良い具

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