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ストライク・バイ・レイン
ガキの頃は雨が好きだった。
雨の中、レインコートを羽織り、ラバーのブーツを水溜りを踏んで、雨水を跳ねさせてはしゃぐのかが好きだった。
しかし齢が重なり、雨は鬱陶しいと思った。傘という荷物が一つ増えるし、靴が濡れると不快だし、濡れた靴底がタイル床に踏んだ時”キュッ、キュッ”のとげとげしい音はダガーのように私の聴覚神経に突き刺す。そしてあなたは信じるか知らないが、私が雨は自分の意識があるか、それとも何者によってリモートコントロールされているかと考えている。
何だその目は?私は極めて正気で本気だぞ。思い出して見ろ。雨の日、軒の下に立っているあなたが、軒の溝に伝って落ちる大きな水滴を見上げる。次の遮蔽がすぐ近くにある。これぐらいの距離なら傘ささなくてもよくね?とあなたは思い、傘をささずに次の遮蔽へ移動すると決めた。水滴の間隔を身か見計らって……今だ!突っ込め!あなたは歩き出した。しかし。
「Arrrgh!?」
ファッキンシェット!どんな因果関係か作用しているのか、雫が目とメガネの間に落ちて、汚染大気成分を含まれた酸性雨が瞼の粘膜を伝って体内に入ってしまった!
あなたはメガネを外して、袖で雨を拭きながら天を呪った。
「明らかに俺を狙ってやってんだろファッキンシェット!」と。
同時刻、天界。
二人の天使が雨雲の隙間から、地上界を覗いていた。一人の天使の手にはガッチョウの翼の飾りを施されたライフル状の機械、「因果トリガー」を持っている。
「ひゃひゃひゃ!またクソ人間の目とメガネの間に雨をぶち込んでビビらせたぜ!」
「もういいだろオスカー!次は俺にもやらせろ!」
「いやもう少しだ。あそこのJKに集中豪雨を注いでぬらせてから……」
「フィーヒヒヒヒィン!」
突如の馬鳴!二人の天使がぞっとして振り返った。彼らの背後に、ペガサスが羽ばたきながらゆっくり着地した。その背に、ティルダ・スウィントン似の大天使が乗っている。
「神の使徒よ!人間は貴様らの玩具にあらず!すぐさま仕事の場に戻りたまえ!さすればこん事を不問とする!」
大天使が威厳に満ちた声で言い放った。
「げっ、カブリエル様だ!」「ひっ!?すぐ戻ります!」
二人の天使が慌てて因果トリガーを捨て、翼を広げて飛んでいった。
「まったく……」カブリエルは因果トリガーを拾い上げそのまま銃口を人間界に向かた。
「さあて、どいつの目とメガネの間に打ち込むか……」
およそ大天使に程遠い、いたずら娘じみた笑顔を浮かべて、カブリエルは狙いを定めた。
教訓:濡れたくなければ、常時に傘を差そう
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