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BAGUETTE

バゲットのはなし

今年になってバゲットの配合が変わりました。
オープン以来何度も何度も細かくは変わっているのですが、今回はわりと大きく、使用している小麦粉を大幅に変えました。粉が変わるとそれに伴い他の配合や工程も調整が必要なので、小麦粉の特性に合わせて新たに作り変えてイメチェンしました。

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具体的には
旧:
  パリジャン(北米産小麦・星野物産)60%
  ニシノカオリT60(三重県産小麦・平和製粉)20%
  モン・ブレ・ブーランジェ(仏産小麦・熊本製粉)20%

新(2021年6月現在):
  ジュ・フランソワ(群馬県産小麦・星野物産)50%
  ニシノカオリT60(三重県産小麦・平和製粉)40%
  ORGANIC FLOUR TYPE85(北米産小麦・米Central Milling)10%

パンを作らない人が見たらなんのこっちゃわからないかもしれませんが、小麦の産地や配合比率が変わったのです。

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・味はどう変わった?
今までの延長線上にありながら、皮が軽く歯切れよく中身のもっちり感が強くなり、甘みはややおとなしくなり小麦の香りが強く余韻が長く続くようになりました。
自分ではもちろん美味しくなったと思いますが、言われなければ気づかない方がほとんどかなぁ、、、という程度かなと。

・じゃあなんでわざわざ変えた?
生粋のグンマーである僕は同じ地で育った群馬の小麦を使って美味しいバゲットを作りたいという思いを持っています。
もともとバゲットにのめり込んだきっかけは初めて行ったパリで右も左もわからず適当にそこら辺の(そんなこだわって作ってる風でもない)パン屋で買ったバゲットの美味しさに衝撃を受けて、これを地元で作って広めるんだ!と勝手に使命感を感じたわけです。(それとパン屋さんが朝早くから営業してるのも猛烈に嬉しかったので、THE BAKERYは7:00オープンです。)

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フランスの小麦で作ったバゲットが特別な美味しさなのは認めざるを得ない事実ですが、みんながそれを追い求めると世界中どこへ行っても「フランス味」になってしまうしね。
僕自身もお店を始めた頃から比べ、大きな組織の中でパンを焼いていた頃にはなかった地元との繋がりができたり、ポートランドへ家族旅行に行ってローカリズムに感化されたりで価値観が変わってきたし、フランスの小麦を使ってフランスのようなバゲットを作ることにあまり価値を感じなくなってきていました。僕なんかがやらんでも凄い人いっぱいいますし。

・じゃあ群馬の小麦だけで作れよ?
麺用粉が主流だった群馬の小麦も農家さんや製粉会社さんの努力でもの凄く美味しいパンが作れるようになりました。
が、今までのバゲットを気に入ってくれているお客様がたくさんいらっしゃるのでそこは絶対に裏切ってはいけないし、地元の食材しか使わない事が目的ではないので、コスト含め試行錯誤の結果このような配合に落ち着きました。

群馬県産小麦の特徴であるもっちり感が以前より強くなりましたが、僕はもっちり至上主義者でも高加水信者でもないので「くちゃ団子かよ」みたいになるのは絶対に避けたいパターン。
歯切れのよいクラストに包まれたほど良いもち感とニシノカオリのフランス小麦を思わせる甘みに、むわっ!とくるパンチの効いた穀物感のcentral millingを10%だけ入れて味の骨格を作り、口溶け良く消えて行くが余韻は長く。

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私達が目指すのは最上級の日用品
限られた一部の富裕層や美食家、パンマニアのような方々の為だけにお店をやっているわけではないので、最高に美味しいけど気軽に来れて無理なく買える価格に抑える(利益を削らず)のも大切なポイント。
いくら美味しくても高級品になってしまうならそれは他のパン屋さんにお任せします。
美味しさより安さを求めるならそれも私達が勝負できる領域ではないので手放しています。
ご立派な理屈を並べても「美味しくないけど高い」は幸せになる人が少ないと思うので、私達はそう思われないようもっと努力していきます。(地産地消でも味のない岩みたいなお菓子を僕は愛せない。。。)

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バゲットとおいしいハムを手に入れて、バターかチーズとシンプルなサンドイッチにするのがオススメです。

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