見出し画像

スタートアップの失敗は怨念のせい? 〜ノベルゲーム「起業布武」〜

「スタートアップ」がどういうものか、私が多少なりとも知るきっかけになったのは、2022年twitterで連載されていたとある漫画でした。

漫画から得た私の雑な「スタートアップ」知識
-小規模から始める起業の形
-どこかからお金を借りる(資金調達)
-見るからに高リスク高リターン

漫画を100話まで拝見してみて、引用RTやリプライでつらい経験談や手厳しいアドバイスが押し寄せる様子に驚きました。失敗談でバズった漫画だったせいかも知れませんが、なんて大変な世界なんだ……と、部外者ながら怯えたものです。


織田信長の亡霊×スタートアップ (は?)

「スタートアップをテーマにしたゲームの開発メンバー(主にシナリオ)を募集」。twitterのハッシュタグを閲覧していた時、たまたま目に止まった呼びかけ。

シナリオならお役に立てそう……しかし私のスタートアップに関する知識はあのうさぎさん漫画が全てだが?! と思いつつ先方、CapGames(以下:Cap)さんが明らかにスタートアップに詳しそうだから、バランスが取れてちょうど良いかも、とも考え応募しました。

こうして他ならぬスタートアップをテーマにしたゲーム制作に関わることになったので、うさぎさん漫画はもはや他人事ではありません。

ただ、おそらく実体験ベースであったあの漫画と違い、本作はフィクションベースとなります。ありがちなスタートアップ体験談をベースにした場合、すでに発表されているよそ様のコンテンツ内容とネタ被りになる懸念もありました。ならもういっそ超常現象がまかり通る「スタートアップを描いてはいるがそんな体験をした人はいない」世界観にして、作る側も遊ぶ人も割り切って楽しめるようにしよう、と思い至ります。

だからって織田信長の亡霊にスタートアップを語らせようってなる?(なりました)

実際にはCapさんは亡霊の提案に最初ちょっと引いてたが懐が広いのでOKなのであった

なおCapさんの名誉のために補足すると、開発当初はもっとちゃんとスタートアップ然としたゲームでした。

実際には私が勝手に信長の亡霊でいいでしょw みたいに決めたわけではなく、ナビ役が必要だというご要望に対し「ヒカルの碁」のように故人を師匠役にしましょうとご提案し、歴史好きのCapさんが出してくださった候補の中から相談して決定しました

仮想敵としての怨念

本作の開発にあたり、Capさんからあったオーダーのうち特に印象に残っているのが「スタートアップ賛歌にならないように」。スタートアップ素晴らしい! みんなやるといいよ! 大成功! ……だけではなく、Capさんから聞いたり私が調べた限りでも現実は厳しく、夢破れたり、逆に成功したことで生活や心身が壊れてしまった人たちも少なくないようです。

彼らの努力や覚悟が足りなかったから、○○しなかったから成功しなかったのだ……などと決めつけられれば簡単なのですが、知れば知るほどそうはならずこれor誰かor自分が悪いor悪くないという二極化ではない、不運や偶然が重なった、人智の及ばないようなケースもありました。

ツッコミ待ち

Capさんと相談のうえ、本作では「見えざる手」のような存在、具現化された「怨念」を創り、悪いことを一手に担ってもらうことになりました。亡霊に続き超常現象を言い訳にするものですが、なんか逆に実際の成功・失敗事例をお聞きする限り、あながちリアリティがないわけでもない……かも?

そう「たまたま」。怨念とはつまり「タマちゃん」なのです。信長の天下布武を阻んだのも「タマちゃん」……いや、「魔が」刺した光秀の「マガちゃん」のせいかも知れません。そしてさすがに懐の広いCapさんも本稿を読んでそろそろ私に協力を頼んだことを後悔し始めていることでしょう。


部外者がビジネスを語……れない!

亡霊とかタマちゃんとか言ってる者が、スタートアップ関係のお仕事を引き受けて果たして良かったのか? と、ゲームの情報が公開された今でも思います。

一方で、多分本当に渦中にいる方は……多分すごく大変で……面白おかしくゲーム作ってる余裕はない!!! でなければ実際に、当事者のCapさんも私に開発の一部を依頼しよう、とはならなかったでしょう。私だって「個人開発ゲームをゲームにしましょう!」となったら、当事者意識が強すぎて「面白おかしくはならんが?」って真顔になりそうです。

語るなんておこがましい、逆になんで語れると思った? それよりゲームが話題になれば、あのうさぎさんの漫画のように、当事者のみなさんが渦中から声をあげるきっかけになるかも知れない。

スタートアップについて理解が進み、イノベーションが起こりやすくなって世の中が少し良くなって、私の老後が少しでも楽しくなるといいなあと想像したりします。そんな簡単な話ではないとも思うのですが、僭越ながら部外者であるからこそできることをすべく、スタートアップのことを広く知っていただく機会に少しでもなればと、今日も開発を続けています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?