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2〜3ヶ月でイラスト力をアップさせるためにやったこと

私のイラスト力、低過ぎ…? 気づいた時がスタートライン

2023年6月ごろ、シナリオやスクリプトをお手伝いしているゲーム「起業布武 〜織田信長とスタートアップ!?〜」のイラストを描かせていただくこととなり、せっかくだからもっと上手く描けるようになりた……てか何ならうっすら下手だな!? と気づいてしまいました。

そこで6〜9月、やれるだけのことをやった経緯をまとめておきます。

本記事は「素人が限られた時間で手段を選ばずまともに見えるイラストを仕上げる」ややセコい、いわゆる「その日暮らし」な内容であり「こうやって基礎を学びましょう」的なことは一ミリも書いていません。いわゆる「画力」の話とはまた異なるのでは? と思い、「イラスト力」としています。

筆者の経歴
-個人ゲーム開発者(企画/シナリオ寄り)
-15年くらい前? はアナログで絵を描いていた
-その後イラストは趣味でたまに描く程度だった
-7年くらい前にペンタブを使い始めた
-イラストは必要に迫られて自作品用に描き、稀に2次創作も描く
-ゲームイラストのお仕事を請けたことはない

本稿では一瞬だけAIを使う方法を紹介していますので、メチャクチャお嫌いな方はご注意ください

"今回"、"私"がすべきことは何か?

キャラでも背景でも何でも上手に描けます! となるのが理想ですが、お仕事には納期があり、練習が終わるまで納品待ってくださいみたいなことはできません。やみくもに手を動かすのではなく「限られた時間で何をすべきか」、優先して取り組むべき問題を絞ります。

今回(現代物のノベルゲームで)できなくても良さそうなこと

  1. 全身を描ける(バストアップがほとんどなので)

  2. ファンタジー、モンスターや動物

  3. 超美麗&ゴージャス

  4. SNS映え (あるに越したことはないけど)

  5. 可愛い女の子が描ける

  6. 背景が描ける

  7. 神絵師を目指す

苦手なこと

  1. 塗り全般、特に影 ※

  2. 洋服のデザイン

  3. 髪が厚ぼったくなってしまう ※

  4. 服の皺 ※

  5. 首、肩と鎖骨周り ※

  6. 唇の影 ※

  7. 目の周りの窪みとか  ※

……いやほとんど全部!! 

現状の問題点

  1. 何回も描き直して無限に時間がかかる

  2. うっすら下手

原因は、つまり苦手なことをちゃんとできていないからに他ならないのですが、さらに深掘りしてみます。

「上手い・下手」と感じる要因はなんなのか?

まずtwitterで自分が上手だと思った方のイラストをブックマーク(いいねも)しまくります。さらに数が欲しいので、midjourneyでも線画を出力してみます。

「ルールに沿ったサンプルを大量に出力」はAIの得意分野

トレスしたり真似して描いたりして気づいたこと……自分の絵は「顔の彫り」が……ない!! あと骨もない

2023年6月に描いたもの。顔グラには顎や頬の骨がうっすらあるものの、信長の顔にはない

骨があってその上に肌が乗っかってる感じが線画の時点でまったくない。めっちゃヤバいキャライラスト描いてたんですね。そこで冒頭で挙げました「苦手なこと」のほとんど、「※」付きの項目は「立体感」が理解できていないことに由来する、と気づきます。

イラストは個人の好きに描けばいいしデフォルメも自由なので、何が正しくて間違っている、という答えは人により異なるはずです。例えば「ちいかわを上手に可愛く描きたい」人なら、立体感よりも線画や色使いの可愛さを追求すべきでしょう。

一方「今回、私」は立体感のなさを改善すれば現状の問題点である「何回も描き直して無限に時間がかかる」「うっすら下手」の改善につながるだろうと予測しメイン課題として取り組むことにしました。

立体苦手かあ〜じゃあ美術解剖学やるか〜、としてはなりません! あくまで「今回、私」の目標は「なんでも上手に描けるプロのイラストレーター」や「画力のアップ」ではなく「現代物のノベルゲームキャライラストを上手に描く」であると割り切り、練習方法を極限まで絞ります。

何度かAIの線画を真似して描いたりしてみたものの、なんかこう……あまりしっくりきません。問題がわかったところで対処法がわからない、そんな時描いたのが本記事タイトル画像真ん中の信長(2023年7月頃)でした。

イラスト動画講座は教科書になりうるか

ロジックも欲しいので、普段だらだらゲーム実況を観がちな空き時間の一部を、イラスト講座を観る時間に差し替えます。

私は5年以上前から「立ち絵の目線がこっちを向いてない」ことで悩んでいて、何をどうしても治らなかったのですが、添削動画でハイライトの位置で目線がコントロールできると知って声を上げたものです。黒目や瞳孔だけの問題だと思っていたのに……!

イラスト動画講座を100本くらい観た感想としては、万人共通のドンズバ正解がそこにある、わけではなく、意見をたくさん聞いて自分に合うものは何か探し見極める指針にする、相談相手のような使い方をするのがおすすめかも知れません。もちろん、すでにイラストを多少描いていて具体的な悩み事がある私のような者なら流し見するだけでも参考になります。

気づきがある一方、いろんな方のいろんな講座を見ていると「各人言ってることが違うケース」が何度かありました。

ではどの方を参考にすればいいのか? 師匠みたいな人を一人決めれば済む話か? 否、そもそも概ねイラスト講座は可愛い女の子メインでSNS映えを狙うものも多いので、「今回、私」が参考にすべき部分とそうでない部分があるはず。そこで悩んでいる「立体や影の講座を中心に観る」ことにしました。が……それでも動画主さんによって、例えば顔のパーツについての考え方が違ったりします。

役立つツールは迷いなく使う

悩んで辿り着いたのが「3D顔モデルをトレスしまくる」方法です。これは「動画主の好みや経験を通した意見」ではなく「リアルな事実」寄りなので、顔パーツに関してはこの方法を優先することにしました。

さいとうなおきさんの3ヶ月上達法動画にあった「自分が目指す絵師さんは誰か」。私の場合は小畑健さんが近く、今回のノベルゲームのイメージにも合っているので、目指すのは等身高めのシュッとしたややリアル系、と的を絞ったものです。

以前はうまく使いこなせなかった3D顔モデルですが、当時よりカスタマイズが進化+私が重要性を認識したこともあってか、思った以上にしっくりきました。

本記事タイトル画像右の信長(2023年8月頃)も、3Dモデルを利用して描いたものです。イラスト講座から得たヒントと文明の力を借りて辿り着いた自分専用の解決方法でした。

あと7年使ってたペンタブを買い替えたのもめちゃくちゃよかった。

私は普段道具をコロコロ変えたりしないのですが、ドライブがもう配布されてない、という理由で変えざるを得なかったのは幸運でした。

「新しいペンタブを買えば上手くなる」というより、無駄が減り効率もよくなるため描くことに割ける時間が増えるのがメリットかと思います。

ちなみに……液タブにするか迷ったのですが「姿勢が悪くなりやすい」「角度が変わるため絵柄も変わってしまう人がいる」と聞いたのと「初見のガジェットだと使いこなせるようになるまで時間がかかりそう」と考え、今回の目的達成のためにはマイナスになると判断してやめました。

画力を補うための手段は選ばない

3Dモデルにも弱点があります。色がついてないし髪の毛はない。ドアップの資料としてはやや役不足です。

クライアントのご要望でカットインを用意することになったものの……

6月くらいに間に合わせで作ったカットイン(顔グラをアップにしただけ)

あーーーーアップに耐えうるものが描けない、こればっかりは3Dモデルでもよくわからない! 特に目! 目がわからん! そんな時は!

フリー素材を探してまるパク……模写ですよ!

https://pixabay.com/photos/man-beard-portrait-bearded-man-657869/

写真を観察して気づいたんですが人間の黒目ってめちゃくちゃ綺麗なんですね。こんな美しいものを想像で描こうとしてたのかと猛省しました。人体舐めすぎですよ。ちゃんと資料見ましょう。デフォルメするならその上でしましょう。

とはいえアップなら髪の毛も描けないとまずい。しかし何かと現実を超越しがちな二次元キャラですから、髪は写真を参考にするわけにいかなくない?

というわけで、髪の毛描く動画講座を見まくり、自分ができてない箇所を分析し個別に練習しました。

写真のままだと彫りの深い外国のお兄さんなので、色味やパーツの大きさ、まつ毛の量などデフォルメを加えます。3Dモデルだけでは賄えない箇所は、上手な絵師さんの絵のアップを真似しました。

影もリアルすぎると変なのである程度省略します(髪の落ち影を忘れています)

キメラ「ちょっと真似した程度でパクれるとかw」

真似=パクりとは私は思ってなくて、その道のプロの方の描き方を素人がちょっと真似しただけでパクれるなどとは傲慢甚だしいですし、部分的に移植したところで自分の絵には合わないので、結局いろんな方の描き方を参考にしたキメラになりました。

その後、他の男性キャラの目にもまつ毛を入れるようになりました。

以前だったら描いてみようとも思わなかったのに、目的を達成しようとするうちに少しずつできることが増えるのは楽しいものです。

このイラストは3Dモデルを丸々トレスしたもので、髪の毛はモデルに付随してませんので想像で描くことになります。描いた順は左上→右、上段→下段です。髪に段が入り、少しずつ柔らかくなっているのがお分かりいただけるでしょうか。

手段の良し悪しは置いといて、こいつ戦いの中で成長してる……!? みたいになれたら理想ですね。

トレスや資料の流用には賛否ある、しかし

「じゃあ写真がないと描けないってことでしょ」「3Dモデルを使うなんて基礎が学べていない」という意見もあるでしょうか。

それはそうですね。

写真や3Dモデルなしで描ける人はすごい。でも「今回、私」にそうなる必要があるかというとまた別の話です。現実世界のものが描ければいいので、資料を探したり自分で写真を撮れば問題ありません。

全身描けない問題に関しても同じで「(ノベルゲームに絶対必要な)顔も満足に描けてないのに身体を描こうとすんな」と思っています。もちろんクライアントから全身入った構図のスチルを描いて! と言われればなんとしても描きます……資料と写真を探してからね。

だってこんなプロが揃いも揃って「資料なしで描くとかないわ」ってなってるのに、素人の私が想像で描くのは変じゃないでしょうか。

まずはとにかく手段を選ばず仕上げて、クライアントからOKをいただくのが先決ですので、当面この方法でイラストとゲームの完成を目指しています。

おまけ:


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