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個人ゲーム開発完全に理解した

2021年1月初旬、世間が初出勤になるのと入れ違いに1週間ほど自粛休暇として、家でひとりゲームしたりYoutubeで動画見たり、だらだらしていました。

私は個人でゲーム開発をしていて、暇さえあればとにかく手を動かし手癖でものを作り続けてしまうので、普段からまともな情報収集ができていません。いわゆるアウトプット:インプットでいうと9:1くらい。カッスカスです。それがお正月休みで1:9くらいになりました。


セールで買って遊んだ「暗い部屋」の衝撃

Switchの新年セールで、前からビジュアルが気になっていたゲームがお買い得になっていました。いや、「ビジュアルが気になって」というのは語弊があるかも? というのもこのゲーム「暗い部屋」には、ほぼビジュアルらしいものがなく、キャラクターも描かれてないし色数もきわめて少ない、基本テキストで進行する、かといってノベルゲームっぽくもなさそう。もしすごく面白くないゲームでも300円くらいだし良いかと思って購入したものです。

結局、5時間くらいぶっ通しでやって、1周目をクリアしました。2周目も遊びかけたんだけど、攻略のヒントがあまりないのでとりあえず置いています。

ゲームが進行して世界が広がって行ける場所が増えるたびに「ビジュアルがないこと」に衝撃を受けるゲームでした。例えば戦闘画面とか地図は、基本的に文字で表現されています。ビジュアルが豊富ではないだろうと思っていたけど、まさかここまでないとは。描けないなら描けないなりに棒人形とかアイコンとか用意しちゃいそうなものですが、それすらないのは、描けないというよりあえて描かない選択をされたゲームなのかも知れません。

自分でゲームを作っていると「文字で伝わらなかったらどうしよう」と怖くなって、ついビジュアルを増やしてしまうので、ここまでプレイヤーを信じて押し通すのは真似できそうにないです。つよい。

同じ「宇宙人狼」、遊んでみたいのはどっち?

「グノーシア」「AMONG US」休み中によく見た実況動画で、どちらも「宇宙人狼」をメインテーマにした小規模開発ゲームです。それぞれ違う方向に特化しており、グノーシアは美しいグラフィックやキャラクター同士のやりとり、AMONG USはPvP(プレイヤー対プレイヤー)のオンライン対戦をメインにしています。同じ材料でも調理方法が違うとここまで違うゲームになるんですね。

もし私が作るなら、セリフを書いてキャラを作って…と、グノーシアの方を目指しそうです。一方で、自分が遊んでみたいのはどちらか? というとAMONG USだな、というある種の矛盾に気づきました。実際にAMONG USを購入し、何度か遊びました。

私は自分で遊んでみたいゲームを作ろうとしているのではなかったのか? 手を動かすのに夢中になりすぎて、知らない間に違う方向を向いていたのかも知れません。

個人ゲーム制作という意味でも労力(コスト)に見合うリターン、つまり「最小のリソースで最大の楽しみを生む方法」を考えた場合、やはりAMONG USに軍配が上がるのではないでしょうか。これは何もグノーシアが劣っているというわけではなく、「宇宙人狼」と聞いた場合、ユーザーが期待するのは「美しいビジュアル < 人狼らしい駆け引き」なのでは? という個人の感想です。

「手間がかかってる」と「面白い」は別の問題

「暗い部屋」を遊んで、「宇宙人狼ゲーム」の実況を拝見して、自分はゲームを作るというと割とビジュアルを凝ってしまいがちだし、フラグやルールに振り回されてしまいがちだったな、と気がつきました。

例えば、ノベルゲームなら選択肢や分岐が多い方が面白いよね? と何故か思っていたんですが、10回どうでもいい選択肢があるより、見た瞬間に「どうしよう」と思わず唸ってしまうような選択肢が1回あるゲームの方が面白いのでは? そして、私もそういうゲームの方をやってみたい気がします。しかも、前者より後者の方がフラグ管理の手間が減ってバグが出る確率も下がり、開発側・プレイヤー側双方に利益がありそうです。

もっとも開発コストが下がる分、「唸ってしまうような」物語や流れを用意する必要はあり、アイディアが必要ですが、私はそういうゲームを作りたいな…と改めて目指す方向を定めることができました。

目が覚めたような気がする一方、私は個人開発に関わり始めてかれこれ10年くらい経つのに今まで何をやってきたんだろう? とも思いました。

10年でスタートラインに立てたんじゃないか疑惑

昔、趣味で絵を描いていた知り合いが、絵の専門学校を出て専門職に数年就いていたことがありましたが、私からみた限りあまり絵に変化がなく、失礼ながらすごく上達したという印象を受けませんでした。

なんでだろうね、という話を最近同僚のプログラマにすると、「その人、通算何年くらい絵を描いてたの?」と聞かれました。趣味で描いてて、学校が2年くらい? 仕事は4〜5年だったかな? うろ覚えだけど10年くらいかも、と答えると、

「うーん、20年くらいやらなきゃいけないんじゃない」

…と言う。同僚は実際20年以上キャリアのあるプログラマだったので、妙に説得力があったのを覚えています。確かに、数年でものすごく上手になるイラストレーターさんもいるけど、そんな人は一握りなのでしょう。

ゲーム開発も、数年で神ゲーを作っちゃう人もいるかも知れないけど、残念ながら私はそうではない。

10年くらいゲーム開発に関わってみて、今になってやっと自分がゲーム制作にかける手間と面白さの相関について考えられるようになった程度ですから、20年説を当てはめるとするとようやく折り返し、あるいはスタートラインに立っただけなのかも知れません。


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