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テレビ日記『100分de名著』~ル・ボン「群衆心理」&『ネコメンタリー』ほか

古今東西の名著の中から1冊を取り上げ、25分×4回=100分で読み解いていくNHKの教養番組『100分de名著』。案内役は、タレントの伊集院光さんと、安部みちこアナウンサー。専用のテキストも販売中ですが、放送だけでもわかるよう制作されています。

NHKには昔からこういう生涯学習系の番組があって、『NHK市民大学』→『NHK人間大学』→『NHK人間講座』→『知るを楽しむ』と来て、現在の『100分de名著』。思えば、自分が最初にテキストを買って見たのが、西部邁さんの「大衆社会のゆくえ」でした。

9月の『100分de名著』で取り上げるのは、フランスの心理学者ギュスターヴ・ル・ボン(1841 - 1931)が著した「群集心理」。

インターネットやSNSの隆盛で、常に他者の動向に注意を払わずにはいられない私たち。その影響で、現代人は自主的に判断・行動する主体性を喪失し、極論から極論へと根無し草のように浮遊し続ける集団と化すことが多くなりました。今から一世紀以上も前に、そうした集団を「群衆」と呼び、彼らの心理を鋭い洞察をもって分析した一冊。

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解説は、ラジオ番組『アシタノカレッジ』のパーソナリティーも務める、ライターの武田砂鉄さん。毒があって偏屈な砂鉄さんファンとしては、これは見逃せないと思いリアルタイムで視聴しました。

同じTBSラジオのパーソナリティー同士の伊集院さんと砂鉄さん。普段は聞き役に重心を置いている伊集院さんが、今回は話す量も多め。二人の言葉のキャッチボールも興味深く。

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群衆の主な特徴は①衝動的で動揺しやすく、昂奮しやすい②暗示を受けやすく、物事を軽々しく信ずる性質③感情が誇張的で、単純であること④偏狭さと横暴さと保守的傾向…まさか19世紀フランスと現代のSNS、日本社会が似ているとは。衆院選の行方を予想しつつ、興味深く視聴したいと思います。

私たちは、群衆心理とどう向き合ったらよいのでしょうか?現代の視点から「群衆心理」を読み直し、「単純化」「極論」に覆われた社会にあって「思考し問い続ける力」をどう保っていけばよいかを考えます。

続いては、NHKの常時同時配信・見逃し番組配信サービス「NHKプラス」に現在アップ中の番組について寸評。まずは作家と愛猫の日常を描く異色ドキュメント『ネコメンタリー 猫も、杓子も。』。

今回はミステリー作家の有栖川有栖さんと愛猫2匹が描かれました。猫の可愛さと共に、作家の生活にも深入りするのが貴重なこの番組。「歩く矛盾」と猫をとらえる有栖川さん。朗読は吉田羊さんでした。

古舘伊知郎さん司会の『日本人のおなまえ』の過去作「ISSAも初耳、沖縄県の謎。」も面白かったのですが、配信終了してしまいました。「那覇」「首里」「コザ」「ソーキ」「糸満」などの地名の由来が初耳でした。




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