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ドラマ日記『燕は戻ってこない』(最終回)&『あの子の子ども』(第2話)

お金も夢もない、29歳の大石理紀=リキ(石橋静河さん)。自らの遺伝子を継ぐ子を望む草桶基(稲垣吾郎さん)。その妻で不妊治療を諦めた悠子(内田有紀さん)。それぞれの欲望が「代理出産」を通じて交差する、ノンストップ・エンターテイメント『燕は戻ってこない』の最終回。

突然に破水したリキは、帝王切開で男児と女児を出産する。新生児集中治療室に運び込まれる双子。ついに生まれた子供たちを前に、ここまでプロジェクトを進めてきた者たちの思惑は変貌していく。

人間の剝き出しのエゴと愚かさ、ブレブレぶりが視聴者をイラつかせると共に、リアルだった本作。双子に魅了された悠子は前言を撤回し、基と縒りを戻し、子育てする気満々。早々と、離婚届&子供と会わない誓約書にサインを求めますが、リキは一旦拒否。

基は離婚届前に出生届を済ませ、改めて2か月間の母乳育児をリキに提案。「私は機械じゃない」としながらも、提案を受け入れたリキ。彼女と子供たちを自らの管理下に置かなかった基や悠子は、その後の展開を想像しなかったのかな。

2か月後、離婚届と誓約書にサインしたリキは、女の子だけを連れ去っていきました。ラスト「どこにでも行けるんだよ」というリキが、スクランブル交差点で振り向き、消え去ったところで終了。

りりこ(中村優子さん)が用意し、タカシ(いとうせいこうさん)や家政婦の杉本(竹内都子さん)に見守られた安全な「巣」を捨てたリキ。どこへ行こうと、苦難が待ち受けている気はしますが、それでも「私は私でありたい」という心の叫び(エゴ)には逆らえなかったということでしょうか。

チャップリンの『モダン・タイムス』(1936年)は、資本主義によって人々が機械のように扱われ、人間の尊厳を奪われる話ですが、本作にもそんなテーマを感じました。生産手段を持たない労働者は、資本家に労働力(時間)を、貧困女子(=リキとテル)は体(子宮)を搾取される。今も昔も。

本作で描かれた人間のグロテスクさとは、資本主義のグロテスクさによって、より強化されたものでもあるのでしょう。さらに進んだ「監視資本主義」がもたらすディストピアは、もうそこまで来ています。


高校2年生の福(桜田ひよりさん)と、幼なじみの恋人・宝(細田佳央太さん)が避妊に失敗し、福の妊娠が発覚。決してなかったことにできない現実に悩み、葛藤する2人を描く、“ラブストーリーの一歩先”の物語『あの子の子ども』の第2話。

妊娠したかもしれない恐怖と後ろめたさからクリニックを飛び出し、結局、受診することができなかった福。慌てて別のクリニックを探すも、世間は連休中でどこも休診。保護者の同意なしで受診することも難しく、福は未成年である現実を突きつけられる。

宝は受診結果を、福は受診できなかったことを、互いに聞き(言い)出せず落ち着かない日々を送っていましたが、福に生理と思われる症状が出て、安堵する二人でしたが…恐らくは「着床出血」という妊娠の兆候でしょうね。

本作では、出演者が過去を回想するかのようなナレーションが多用されており、カメラ目線だったりもするわけですが、たまに使われるこの種の演出って没入感が損なわれる気がするんですけど、どうなんでしょう?



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