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大河ドラマ『青天を衝け』(初回)

新一万円札の顔としても注目される、“日本資本主義の父”渋沢栄一(吉沢亮さん)の激動の人生を描く、大河ドラマ第60作『青天を衝け』が14日スタート。開始2分で徳川慶喜役の草彅剛さんを登場させるなど、出し惜しみなしの、ほぼ完璧なスタートダッシュでした。

武蔵国の裕福な農家の長男として生まれた栄一(小林優仁さん)。ある日、罪人(玉木宏さん)が藩の陣屋に送られてきたことを知った栄一は、近くに住むいとこの喜作(石澤柊斗さん)らと忍び込もうとたくらむのですが…というストーリー。

大河ドラマに登場する人物の中では、マイナーな部類の渋沢栄一が主人公だけに、冒頭から『歴史秘話ヒストリア』風な徳川家康(北大路欣也さん)による解説を入れてくるなど、わかりやすさにこだわった初回。

前作『麒麟がくる』の重厚なオープニングから一転、今回はミュージカル風な人物たちや、カラフルで流れるようなCGなど、軽やかで躍動感のある仕上がりで、新たな時代を開く感じがよく出ていました。

大河ドラマのお約束で、子役時代からスタートかと思いきや、開始早々に青年の栄一(吉沢さん)が登場。そして、ついに徳川慶喜役の草彅剛さんが降臨。栄一に対峙する威厳ある姿に、一気に惹きこまれました。

そこから栄一の子役(小林優仁さん)パートへ。東京ドーム5個分の巨大セットで作られた村のドローン映像も美しく、農作業など細部にわたるこだわり具合が、まさにNHKクオリティ。

父の教え「上に立つ者の責任」や論語など、栄一の生涯の行動原理と思想の芽生えを、川に流された千代(岩﨑愛子さん)の赤い櫛捜索につなげたのもアイデア。しかし、罪人・高島秋帆役の玉木宏さんに拾われて、千代ちゃんは心を撃ち抜かれたのではとの心配も(例:『あさが来た』)。

水戸藩主・徳川斉昭の竹中直人さんも、“烈公”らしいテンションの高い芝居ではまり役。慶喜の子役・笠松基生さんも凛々しく。史実に基づく、斉昭の慶喜への教育方針も興味深い。

1時間があっという間に感じられる脚本(構成)で、ほぼ完璧だった初回。敢えて難をいうなら、冒頭のヒストリア演出と家康と蚕CGダンスはいらないかな。大河も朝ドラも、伝統の中に革新が常に必要ではありますが…。

ともあれ、一年間視聴できそうな雰囲気はありましたので、大森美香さんの脚本を信じて、新たな大河の旅に出ましょうかね。




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