見出し画像

行きつけの店に憧れた餃子の「旭軒」

社会人一年目。行きつけの店というものに憧れていました。行きつけのバー、行きつけのレストラン、行きつけの屋台…なんだか大人になったような、通になったような、そんな気分が味わえるんじゃないかと。

退勤時間になっても、上司の手前、なかなか帰れないのが、一昔前の日本社会。ではありましたが、そこは空気の読めないフリをして、先輩や同僚を尻目に定時退社。職場近くにあった餃子の「旭軒」に通い始めました。

福岡のグルメというと、ラーメンやもつ鍋、水炊きなどが知られていますが、実は餃子も美味しい店が多数ある激戦地(人口10万人あたりの餃子店の件数は福岡市が全国2位)。

「鉄なべ」や「テムジン」など、複数店舗がある店はもちろん美味しいですし、「餃子李」の本格中華な水餃子など、バリエーション豊富で懐も深い。そんな中、自分が行きつけに選んだのは「旭軒」。

その特徴は何と言っても小ささ。一口餃子といわれる博多の餃子の中でも極小サイズ。揚げ餃子に近いほど、カリッと焼きあげられた皮の下には、タマネギの甘さと肉の旨味が広がっています。キリンビールを手酌で飲みながら、店に置いてあるスポーツ新聞を読む姿は、すでに常連な風情。

焼きたてが美味しいので、注文は1人前ずつ(10個)。追加が焼きあがるまでは、山盛りで置いてある手羽先をつまみ、またビール。ちなみに手羽先は食べた本数を自己申告制。サイドメニュー数も限られ、餃子一本で勝負している潔さもいい。

ほろ酔い加減で外を見ると、同僚が帰るところだったりして。合流して飲みに行くもよし、場所を移して、一人で行きつけの屋台やバーで飲み直すのもよし。残業なし独身社会人の夜は長い。



この記事が参加している募集

#この街がすき

43,544件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?