名作揃い「向田邦子賞」受賞作品3選

テレビドラマの脚本を表彰する代表的な賞「向田邦子賞」が6日に発表され、1月期ドラマ『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』の橋部敦子さんが受賞しました。橋部さんは、前クールは『知ってるワイフ』も掛け持ちしていましたし、春ドラマ『半径5メートル』も担当するという充実ぶり。

向田邦子さんは、『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』『あ・うん』などで知られる、昭和を代表する脚本家。惜しくも、51歳で飛行機事故で亡くなりました。個人的には、『トットてれび』(2016年)でミムラさんが演じた向田さんが印象に残ります。

ドラマ脚本家の最高の名誉ともいえる同賞だけに、受賞者は錚々たる顔ぶれ。倉本聰・山田太一・池端俊策ら超大御所から、大石静・遊川和彦・北川悦吏子ら大物、前クール『天国と地獄』の森下佳子や『俺の家の話』の宮藤官九郎といった第一線までずらり(ここまで敬称略)。

そんな向田邦子賞受賞作品をいくつか挙げてみましょう。まずは木皿泉さんの 『すいか』(2003年)。木皿さんは二人組の夫婦脚本家で、寡作ながら熱狂的なファンが多いことで知られます。『野ブタ。をプロデュース』(2005年)が一番有名ですが、この『すいか』も隠れた名作として有名。

30代半ばの信用金庫職員(小林聡美さん)、20代後半の売れない漫画家(ともさかりえさん)、年齢不詳の女性大学教授(浅丘ルリ子さん)、会社の金3億円を横領して逃走中の女(小泉今日子さん)、若い大家(市川実日子さん)が、「賄い付き下宿」での生活の中で、今までの人生を見直し、ちょっとだけ成長して、それぞれ新たな一歩を踏み出していくホームコメディー。

続いては藤本有紀さんの『ちかえもん』(2016年)。藤本さんといえば、朝ドラ『ちりとてちん』(2007年)や大河ドラマ『平清盛』(2012年)など、傑作なのに視聴率が取れないクドカンのような人。『ちかえもん』は斬新かつ意表を突く時代劇ながら、最後には見事な大団円。

人形浄瑠璃「曾根崎心中」が空前の大ヒットに沸いた半年前、作者の近松門左衛門(松尾スズキさん)は超スランプに陥っていた。ある日、謎の渡世人・万吉(青木崇高さん)が現れる。二人が、ひと癖もふた癖もある人々と出会い、さまざまな騒動に巻き込まれていく新感覚・コメディ時代劇。

最後は、金子茂樹さんの『俺の話は長い』(2019年)。日テレでコメディー系ドラマのヒット作を続けてきた金子さんの一つの頂点。30分×2本立ての会話劇で、懐かしいホームドラマを現代的に再生した印象。主演の生田斗真さんをはじめ、みな演技巧者で面白い舞台を見るようでもありました。

岸辺満(生田さん)は喫茶店を営む母・房枝(原田美枝子さん)に寄生しながら暮らす31歳のニート。ある日、マイホームを建て替える姉の家族(安田顕さん・小池栄子さん・清原果耶さん)が同居することになったことから、満の人生が一気に動き出す。

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