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暗唱できる文章ありますか?

「読書百遍 意自ずから通ず」などといいますが、昔の人たちは「四書五経」を何度も素読(暗唱)したりして、その思想を自分の血肉として消化していたのでしょう。

算数の「九九」なども暗唱の効果を利用した勉強法の一つでしょうが、地域や学校によっては、「百人一首」を暗唱させられたという人もいるでしょうし、古文や漢文、他にも名文と言われる文章を国語の授業で教わり、好きになって暗唱した人もいるでしょう。

個人的に暗唱できる文章その①「いろは歌(漢字表記バージョン)」。

色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔ひもせず

個人的に暗唱できる文章その②「平家物語」冒頭。あの帝国もまた…。

祇園精舍の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす 驕れる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし 猛き者もつひにはほろびぬ ひとへに風の前の塵に同じ 

個人的に暗唱できる文章その③高村光太郎「智恵子抄」の「レモン哀歌」。

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた かなしく白くあかるい死の床で わたしの手からとつた一つのレモンを あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ トパアズいろの香気が立つ その数滴の天のものなるレモンの汁は ぱつとあなたの意識を正常にした あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ わたしの手を握るあなたの力の健康さよ あなたの咽喉のどに嵐はあるが かういふ命の瀬戸ぎはに 智恵子はもとの智恵子となり 生涯の愛を一瞬にかたむけた それからひと時 昔山巓さんてんでしたやうな深呼吸を一つして あなたの機関はそれなり止まつた 写真の前に挿した桜の花かげに すずしく光るレモンを今日も置かう

10月5日は「レモンの日」。智恵子の命日。


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