芸能事務所ノート「東宝芸能」

俳優(女優)の多くが所属する芸能事務所についてのシリーズ。今回は、大手芸能事務所「東宝芸能」。

日本映画の全盛期だった1950年代には、松竹・東宝・大映・新東宝・東映・日活などの大手映画会社が競い合いましたが、今や東宝の一人勝ち。不動産業による安定した財務の上に、『千と千尋の神隠し』『君の名は』など大ヒット作を連発。今後もこの状況は続くと思われます。

そんな東宝の子会社である芸能事務所が「東宝芸能」。当初は東宝が映画製作から撤退した際に、東宝専属俳優の受け皿という側面もありましたが、現在は「東宝シンデレラ」というオーディションで獲得した女優たちが中心。

1984年に開催された第1回東宝シンデレラオーディション。松岡修造さんの父親で、東宝名誉会長の功さんが、関連会社・東宝芸能の社長も兼ねた時代。沢口靖子さんがグランプリで、斉藤由貴さんはファイナリストでした。

オーディションは毎年ではなく、数年に1度しか行われず、採用した女優をじっくりと育てていくのが特徴。2000年に開かれた第5回でグランプリだったのが長澤まさみさん。本格的に売り出されたのは、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)頃から。

オーディションが数年に一度というのが仇となったのが、2006年に行われた第6回。グランプリの黒瀬真奈美さんは学業優先で芸能活動休止(引退?)。ファイナリストだった朝倉あきさんも、芸能活動を休止し、東宝芸能とは契約終了。空白の世代が生まれてしまいました。

そんな中で行われた2011年の第7回。この年は当たり年で、グランプリが上白石萌歌さん(妹)、特別賞に上白石萌音さん(姉)、ニュージェネレーション賞が浜辺美波さんでした。ただ、3人ともまだ小中学生だったため、これ以降も数年は「長澤まさみ以降の女優が育っていない」と言われました。

各世代、一人だけを売り込むリスクを学んだのか、3人は別々のタイミングで推されていきます。最初は一番年上の萌音さんを『舞妓はレディ』(2014年)に抜擢。以降、『ちはやふる』『君の名は』と東宝の大作映画で知名度を高め、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(2020年)で大ブレイク。

3人の中で、目下一番売れているのが浜辺さん。『君の膵臓をたべたい』(2017年)でブレイク以降、東宝映画の大作にたびたび起用されると共に、連ドラ主演も相次いでいます。グランプリだった萌歌さんは、本格ブレイク待ち。

最後に意外な東宝芸能所属俳優たち。ミステリー作家・山村美紗さんの娘・山村紅葉さん。狂言師・和泉元彌さんの妻・羽野晶紀さん。宮本信子・池内万作親子。髙嶋政宏・高嶋政伸兄弟。東宝芸能も色々。

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