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ベルリンの裸の楽園、サウナスパVabaliへ(Lv.3)


ドイツ名物・混浴スパの、ベルリンエディション

去年の冬にはじめて行った翌日から私もずっと言い続けていたと思うんだけど、「ババリ行きたいね〜」はみんなの口癖だ。遊んだ次の日は特に、ちょっとでも寒いとババリに行きたくなる。いや別にたいして寒くなくても、ババリには行きたい。年中行きたい。

機能的にはサウナ付きスーパー銭湯なんだけど。もうちょっと感覚的にはプチ贅沢なことになってるし、湯に浸かり身体を癒す空間としてはアナザーレベル。さまざまな体型かつ性別かつ人種の大人が、素っ裸でのんびり過ごして心身温まりに行く場所だ。

節約命で寒いベルリンの日常

そもそもなんだけど、ベルリンでの「お湯に浸かりたい」欲は結構シリアスなんだ。だって家にバスタブがあったらいい方だけど、例えば私は家にバスタブがあるけど、それでも毎日湯をはろうもんなら絶対にドイツ人のフラットメイトに「お願いだからやめて」と言われる。週一でもかなり気が引ける。彼女の目も気になるし、半年後に「光熱費高かったんだよね」と現金追加徴収されるのを今から危惧してる自分もいる。先日も「電気代が高かった」と言って約300ユーロ追加徴収された。そうなんだよ、光熱費高いし、なぜってだって地球の貴重な資源だし、とにかくドイツにおいて、水・ガス・電気はだいぶプレシャス(感覚的に、少なくとも日本に比べて)。

ヒーターつけるのも時に心阻まれる。ってかどこ行っても基本室内の温度が低い。はじめて使うキッチンで麺を茹でる際にも、まず熱湯を沸かすのに電気ポットと直火のどちらが(エコな選択で)良いかを確認するやりとりを挟むようにしてる。これだから「ドイツ人はケチ」とか言われるのかもしれない。私も最初はそう思ったもんね。

ケチって言われてしまうドイツ人に寄り添う

でもさ、ケチはケチなんだけど、ただ「お金払いたくないから」だけじゃないんだ。例えば、ガスはロシアから買ってて、ガスをたくさん使うことはロシアにお金を払うことになるから。てか、そもそも生きてるだけで地球温暖化に加担しているし、とか。「これにはお金払いたくない」の背景に、主に政治と地球環境に関する思想的な理由がたくさんある。それはさ、個人的に同意できる部分では私も支持したいし、友人のそれを支持しないわけがないし、「私のお湯に浸かりたい欲」がワールドクライシスよりも大切なわけがないじゃん?

とかって書いちゃうとドラマティックに聞こえ過ぎちゃうし、私の「私のお湯に浸かりたい欲」も私にとってはすごく大切だから、そこはよきバランスを探りつつ生活していて。ちょっとだけ考え方を柔軟にすれば特に問題はない。どの方向に柔軟にすればいいのかすら、はじめは正直わからなかったけど、そういうのがわかってくるっていうのが、その国に街にカルチャーにアダプトしていってるっていうことなのかな?と最近は感じる。
(今んとこの私なりの結論:ドイツ人はケチかもしれないけど、それ以上に、自分に対しても世の中に対しても責任感の強い人たちだと思う)

良いダウンジャケット買うよりも、定期的にババリに行きたい

と、話が逸れたけど、とにかくそんなわけで体が冷えがちなベルリン。で、ババリはプレシャスなお湯に思う存分浸かれるだけじゃなく、丸一日サウナ入って温水プールで泳いで、ビール飲んでごはん食べてゴロゴロして本読んでカードゲームして過ごせるんだよね。あったかい楽園なのだ。

それに加えて、心も体も丸裸になれる(比喩ではない、リアルヌード)っていう。ん?女も男も関係ないよ、ついてるかついてないかってゆーのは、ババリにおいて特筆すべきことではないほんのわずかな身体的特徴。「ショートヘアかロングヘアか」くらいの感覚。それは言い過ぎ?でも、まじで気にならない。少なくとも、私と私がババリについて語り合ったことのある人たち全員にとっては。

「裸でいることの開放感!」って言っちゃうとなんか安っぽく聞こえるけど、一糸纏わぬ姿でみんなが笑顔を浮かべる空間っていうのは、それだけでも幸福度高め。フルチンでプールで泳いでるおじいちゃんの幸せそうな顔は忘れられない。私の親にも体験させてあげたい。ベルリンに住む特権のひとつとして、ババリの存在は必ず挙げたい。

ここ以外じゃ脱ぎたくないけど、ベルリンだから気にならない

「裸でいるのが好きじゃない」理由があるとしたら、それって人目が気になるから、もしくは「地震がきても家を飛び出せない」なんて不安があるから落ち着かないからなんじゃないかな(それも最終的には人目が気になるにからって理由につながるよね)?

ベルリンのいいところのひとつはさ、この街にアダプトしてる人はみんな、人間の身体的特徴について細いこと気にしない、裸を見せる/見ることに抵抗がかなり少ないっていうところだと思う。
いやもちろん個々人の頭の中でどんなヌーディストワールドが繰り広げられているのかは知る由もないけど、それってどんな形でも表に出さなければまぁ極論はOKで(理性を保てる範囲内で各々のイマジネーションを行うのは問題ないよね)。
それ以前にボディシェイムはまじでタブーだし、話のネタとしてウケないし、それよりも面白い話のトピックスは無限にあるし、日頃生活してて冗談でもそういうこと言われないから、自分の好きじゃないと思ってた体の部分のこと、忘れちゃうことも結構ある。

性別ももはや見た目だけではわからないことも多いから、別にどっちでもどんなでも私は構わないし、その空間にいる2/3の人たちもおそらく構わないだろうし、それに関係の無いなにかを判断する際に「身体的特徴がどのようであるか」が与える影響って、ベルリンではだいぶ少ないのかなと感じる。
だからこそ、ベルリンで素肌をさらすことって別にそんなに恥ずかしくない。

あらためまして、裸の楽園へようこそ

世間一般的にこういう思想だっていうのがわかってるからこそ、ババリで素っ裸で過ごす一日は特別。室内、屋外に10個以上サウナがあってさ、温度もそれぞれで。アウフグースとかメディテーションが行われてさ。先にも書いたように、できることはスーパー銭湯とさほど変わらないのだけど、ただ、全人類混浴なんだ。もう更衣室から混合。友達と、恋人と、家族とそこで素っ裸で過ごすの、とにかく良いんだ……。おっぱいもおちんちんも体の一部で、単なる器官のひとつで、それによって分けられることがない。「違うんだって」思う必要がないっていうのは、裸でする体験のレベルを別次元に引き上げるなぁと感じられる場所なのだ。

そんなわけでようやく2度目のババリに行ってきたんだよね。昨日、丸一日!
レストランの奥に、新たに暖炉のある部屋を発見した。さいこ〜。混んでたけど、楽しかったな〜。

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