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ある本を読んで

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2018年3月の記事一覧

「春、バーニーズで」吉田修一著 を読んで。

「最後の息子」の未来の話と聞いて、さっそく読んでみた。
正直、読まなければよかったと思った。
未来の「僕」は、どうしようもなく悲しかった。

ままならない日々を、きっとみんな矛盾を抱えながら、何となくバランスをとって生きていて、一見グラグラでも崩れずいける人もいれば、しっかりと立っていたのにある日突然それが砂になってサラサラと流れてしまう人もいる。

作中に村上春樹の「羊をめぐる冒険」出てくる。私

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狡い男 山田涼介演(仮) / 「最後の息子」吉田修一著 を読んで

「閻魔ちゃん」という渾名がすごくいい。ぼくの恋人、閻魔ちゃん。

「ぼく」は閻魔ちゃんに、ようは飼われている。ぼくは閻魔ちゃんの愛人でいるべく、努力をしている。ウェットに飛んだ知識の収集、それをひけらかさない忍耐、そしてダメンズウォーカーの欲を満たすためのあえての暴力。

愛されている関係というのはらくだ。
求められている事に、上手に応えていればよいのだから。

相手が求めている自分を演じる。

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