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【福祉】支援者の言いなり人生にならないために

 福祉の人と関わっていると「自立」「就労」「障害」という一般的な言葉から、「エンパワメント」「アウトリーチ」「自己覚知」「ソーシャルインクルージョン」という福祉的用語が飛び交う。
そういいつつも、障害者やひきこもりの人への対処法といえば一直線に「就労」を勧める傾向があるのはなぜだろうか。

 私が一番抵抗があるのが、できていないことを指摘されること。
「仕事ができるように生活のリズムを整えましょう」
「金銭管理ができるようにお小遣い帳をつけましょう」
「人とのコミュニケーションができるようにデイケアに通いましょう」

 これって
「あなた仕事すらできていないんだから、まずはリハビリしないとダメですよね」
「あなたお金稼いでいないんだから、親から貰ったお金なり年金の管理くらいきちんとしないとダメですよね」
って言われているような気がするのだ。

 なぜ「できていないこと」にフォーカスするのだろうか。
それは支援者が支援しやすいように障害者雇用への正規ルートに導きたいだけなのではないだろうか。
障害者雇用への正規ルートとは、デイケアや生活訓練を経て就労継続支援B型、何年かして慣れたら就労移行支援で2年(MAX3年)で職業訓練をし、障害者雇用、または就労継続支援A型就労を目指すものだ。

 全く働いたことがない、働いたことはあってもブランク期間が長すぎるという人はともかく、一度でも正社員なりアルバイトなり働いたことがある人にとって、この障害者雇用への正規ルートへの道に導くのはナンセンスなのではないかと思う。

 私自身、一度も障害者雇用で働いたことがない。なぜなら障害者雇用で働く友人知人が1人を除いて全員1年以内で辞めているからだ。やりたいことが見つかった、とかポジティブな動機で辞めているのではなく、差別やパワハラ、労働環境や待遇が悪いなどのネガティブな動機で辞めている。

 かろうじて障害者雇用で続いている知人は、今まで働いたことがなく、支援者の言うことを何でも素直に聞くタイプだ。だから正社員願望もなく待遇への不満を言わずに黙々と働き続けているのだ。そういう人もいるのだから、一概に障害者雇用がダメとは言い切れない。

 障害者雇用に結び付けたい支援者は、単なる世間知らずさんなのではないだろうか。当たり前のことだが、人には「合う合わない」がある。人間関係だって職場だって住環境だって何でもそうだ。その適性を確認するには、丁寧なヒアリングとニーズを汲み取る力が必要だ。その力のない人が障害者やひきこもりの支援をすること自体「害」なのである。

 「害な支援者」を自分の五感で嗅ぎ分けるのは意外と簡単だ。耳障りのいいことばかり言う支援者は要注意。逆に一見ぶっきらぼうだったり放任主義だったり、常識破りな支援者に出逢ったらチャンスかもしれない。

 自分を信じること。自分だったらどうするかを自分の頭で考えること。そして一番大事なことは行動することだ。行動することは怖いし失敗もする。その失敗は貴重な財産となるし、失敗から学ぶことが今後のチャンスにもつながる。

 失敗しないように石橋を叩いて渡らない人生より、失敗して傷だらけになりながらもガタガタの石橋を補修しながら渡る人生のほうが面白いのではないだろうか。

 福祉の人は福祉の枠に囚われず、また支援される側も変に委縮せずにいてほしい。少なくとも私自身は支援者にはならないが、その手助けになるような橋渡し的な役割ならしたいと思う。
多様性という言葉が溢れている社会において、私自身人生の棚卸し作業とこれらの再確認をしていきたい。

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