休職日記#17 退職まであと5日。半年ぶりにオフィス近くへ、いざ。

今、オフィス近くへ向かう電車の中だ。退職に向けて、借りっぱなしだった備品類を返却するためだ。
職場の人たちへ退職の挨拶もしたいな、とも思っていたが、なかなか心理的にハードルが高い。一度にたくさんの人たちに会う勇気は、まだない。以前は当然のように入っていたビルのエントランスを想像すると、足がすくむ。オフィスの中を想像して、同僚たちに会っていることを想像すると、心拍数が上がる。

元来、内向的な性質なのだが、仕事をしていたときは、社交性スイッチをガンガンに入れていた。意図的に明るく元気な自分になることで、負けないように武装していた。何とそんなに戦っていたのか、わからないのだけど。

今、そのスイッチはどこかへ行ってしまった。スイッチが壊れてしまったともいうか。武装する必要がなくなって、素の状態でいることが増えたからだろう。完全に省エネモードだ。
元気に見せなければ、明るく見せなければ、という強迫観念のようなものは、休職日数が経つにつれて薄まっていった。きっと、この素の状態でいつもいられたら、無駄に疲れたりすることもないのだろう。

楽にはなったが、スイッチも入らない無防備な状態でオフィスに入っていくのは、怖い。なんの武器も持たず、いきなりボス戦へ挑むようなものだ。まぁ、実際は大したことないのだろうけど。

ということで、オフィス近くで先輩と会ってランチすることになった。この先輩には素の状態に近い自分を知られているからか、不思議と会うことへの抵抗がなかった。
備品類は先輩から返却してもらうことになった。最後の最後まで、甘えっぱなしになってしまった。もう一緒に働くこともなくなるのか、と思うとやっぱり少し寂しくなった。

退職まであと5日。日常は、変わらず流れていく。

Photoby あっこ
散歩中に見つけた秋桜。
青空と淡い紫ピンクの組み合わせ、綺麗ですよね。