見出し画像

子どもの世界との付き合い方

こんにちは。

今日は子どもの世界との付き合い方についてです。


子どもって自分の世界を作って、そこで遊ぶことを好む時期があります。

どのくらい深く世界に入り込むのか。

どのくらいの期間入り込むのか。

そもそも、どんな世界なのか。

これは本当に子どもによって違います。

一つ言えるのは、この時期は子どもの成長にとって必要で、大切な時期だということです。大人にとっては意味不明、理解不能な世界でも、子どもにとってはかけがえのない世界なのです。

この世界を否定されるということは、子ども自身を否定されるようなもの。

大人にとって些細な一言でも、この世界を否定されることで子どもは傷つきますし、その後の成長に影響することすらあります。


子どもの世界と、大人の世界は別物だと思って欲しいくらいです。


どちらがいいとか、どちらが悪いとか、そういうものでもありません。


つい、こうした方がいいのに、とか。そんなことをしても意味がない、とか。大人の感覚、価値観で言いたくなることがあります。

でも、そんな判断は必要ない世界なのです。

その世界は、ずっとそのままの形でいるわけではありません。

子どもが日々吸収しているすべてのものから影響を受けて、どんどん進化していく世界です。一日で全く別物になることだってあります。

大人ができることは、子どもがいろいろなものを吸収できるように、子どもの周りにいろいろな情報をそっと置いておくこと、くらいかなと思っています。

それを受け取るかどうか、吸収してくれるかどうかは子ども次第。

子どもに合わせて、できるだけ受け取ってもらえるように工夫するのが保育士の腕の見せ所でもあるわけです。


とはいえ・・・

自分の世界にどっぷり、しっかり入り込んで遊ぶのが好きな子に対しては、ちょっと困る場面も出てくるでしょう。


どっぷりしっかり入り込んでいるので、大人の言葉は聞こえません。

外の世界の決まり事なんて知りません。

他の子が別のことをしていたって、自分には関係ありません。


ゆっくり遊んでいられる時間なら、それでも構いません。でも、出かける時間があるとか、食事が片付かないとか、保育園だったら他の子の存在もあるし、その子の世界のペースに合わせてばかりいられない。

けれど、正面からぶつかっても、恐らくうまくいかないと思います。

あちらの世界とこちらの世界、相容れないもの同士ぶつかれば・・・さらに大変な事態を招くことになるでしょう。


そんな時、私が使う方法の一つをご紹介しますね。


Aちゃんはプリンセスが大好きな2歳の女の子。おままごと用の手作りスカートを何枚も重ねて履いて、肩にレースを掛けて、音楽に合わせてくるくる踊っては楽しそうに笑っています。

そんな時のAちゃんに、「Aちゃん、おやつだよ」と声を掛けても伝わりません。振り返ってくれる日もありますが、だいたい、彼女のダンスは止まりません。

ああ、今はそういうタイミングではないんだな、という合図です。

それならばと、私も口調を変え、改めてAちゃんの傍に近寄ります。

「プリンセス、おやつの用意ができました。今日は素敵なお茶とクッキーですよ。」

Aちゃんの脚がぴたっと止まり、にっこりと振り返ってくれました。

「プリンセス、可愛いドレスが汚れてしまいますから、脱いでからおやつにしませんか?」

Aちゃんが頷いてくれた後、私はうやうやしくスカートを脱がせてあげて、笑顔で「どうぞ」とテーブルに促します。気分はメイドさんでしょうか。

もちろん、おやつは素的なお茶とクッキーではありませんが、椅子に座ったAちゃんは気にしません。そのころには、プリンセスの世界から保育園に戻ってきているので、そのままみんなとおやつを食べていました。


相手はプリンセスに限らず、某アニメのキャラクターということもあれば、戦隊ヒーローのレッドだったり、花の妖精だったりします。

たまに大根とか、幽霊だったりもします。

それによって私の役どころも変えつつ、いかにその子の世界の中で、違和感なく次の行動に繋げていけるかを考えます。スムーズにいくこともあれば、多少時間がかかることもありますが、その子の世界を無理やり終わらせようとするより、その後の子どもの様子が圧倒的に違います。


これは保育士生活で培った、得意技の一つです。

この人は自分を否定せずに付き合ってくれる、受け止めてくれる、という信頼を築くこともできるので、はじめはちょっと気恥ずかしいかもしれませんが、おススメです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?