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保育士は接客業であり職人である

おはようございます。
保育士時代に感じたことを日々書き留めていますが、今日は保育士という仕事そのものについて、感じていたことを書こうと思います。
それが、保育士は『接客業』の一種だということと、『職人』のような面があるということです。

『接客業』としての保育士

保育士をしている以上、どうしたって親の存在は切り離せません。
主に関わる相手は子どもですが、子どもが保育園を決めるわけではありませんし、保育園の準備をするわけでもありません。
子どもが過ごしやすい保育園を作り、子どものための保育をする、というのがメインではありますが、保護者がどう感じるのか、どう受け止めるのかも無視できないポイントです。

送迎の際の保護者対応も、子どものための連絡をしつつ、「接客業だなぁ」と感じる面も多々ありました。
それが良い・悪いという問題ではなくて。
保育園にとって保護者がどういう立ち位置なのか、ということは常に頭に置いておかなくてはいけないと思っていました。

保育園にとって、保育士にとって保護者とはどういう存在でしょうか?

子どもを育てるため協力し合う、同士でもあります。
子どもの成長を共有しあい、親しく言葉を交わす親しい存在にもなります。
同時に、身も蓋もない言い方をすれば「お客様」でもあります。
保育園に満足してもらい、この保育園に通わせて良かったと思ってもらわなければいけません。

そういういろいろな要素が絡み合うので、保育士と保護者の関係性ってバランスをとるのがとても難しい。
親しみを感じてもらいたいし、いろいろなことを話せる間柄になりたいけれど、踏み込みすぎたり態度を崩しすぎたりしてはいけない。
人と人の関係なので、合う・合わないの問題も出てきます。

あのお母さんにはこの言い方がいいけど、このお父さんにこの言い方は伝わらない、とか。
この表現はマイナスに受け止める方もいるから止めよう、とか。
そんなデリケートな調整を日々行っています。
保育士というと保育・教育という面が注目されがちですが、接客業の一種でもあるという意識は必要だと思っています。

『職人』である保育士

職人(しょくにん、英語: craftsman、フランス語: artisan)とは、自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである。
                         ウィキペディアより

保育士が職人?なんのこっちゃ?と思われるでしょう。
ウィキペディアに載っている定義とはちょっとズレますが、保育士歴が長い方ほど熟練の技をいくつももっています。
ハサミを画用紙を数枚重ね切りする技術、折り紙でささっと手裏剣を量産する技術、粘土でデフォルメされた動物を量産する技術、などなど。
やっている方は当たり前になっているのでなんとも思わずやっていますが、周囲から見ると、「どうやってるのそれ!?」という技術もちの保育士、結構います。
手作業で、という定義からは外れますが、子どもの関心を引きつける絵本や紙芝居を読む技術、食わず嫌いの子どもに給食を食べさせる技術、はしゃぐ子どもを寝かしつける技術なんていうのもあります。
ベテランほど、熟練した技術をいくつも持ち合わせているものです。

私が保育士を『職人』だと感じるのは、熟練した技術をもっている、ということだけではありません。
そうした技術のほとんどが、”教えられず、見て学ぶしかない”ことが多いから。
師匠の背中を見て学べ、みたいな、そういうやつです。

技術によっては、教えようがないものもあります。
本人が自分なりのやり方をみつけて、ひたすら繰り返すことでしか身につかないものもあります。
ハサミや折り紙、粘土はそういう技術ですよね。
でも、絵本や紙芝居の読み方とか、子どもへの接し方、子どもの感情の読み取り方、そういった技術は教えてもらえる部分だってあると思うんですよ。
保育の流れの作り方、保育室の動線の整え方などもそうですね。

なのに、保育士業界って、徒弟制の職人の世界みたいなところがある。
見て学べ。
見て分かれ。
よく見て汲み取りなさい。

若手保育士が辞める理由って、そういう世界になじめないという理由もあるんじゃないかと。
実際、先輩保育士の指導が完全に「見て学べ」「見て汲み取れ」で、「なんでできないの?」と責められる流れに心が折れて退職した新人さんもいました。

子どもを育てる仕事をしているのに、子どもの成長や発達についてプロであるはずなのに、どうしてそうなる?

ベテラン保育士だから、というわけではないんです。
30代前半の保育士でもそうなので、今までの保育士業界が積み上げてきたものの結果、という気がしてなりません。

保育士は常に進化し続けなければ

保護者との距離感が近すぎて友だちのような感覚の保育士。
若手への指導が「見て学べ」のままの保育士。
その方自身が若手だったころ、先輩保育士たちを真似て身につけたものがそのままになっている、という場合が多いように感じます。
(本人の性格的なものもありますが)

保育士という仕事はアナログなイメージが強いものの、IT化も進み、連絡ノートのアプリ化や、睡眠チェックのデジタル化など変化し続けています。
同時に、子育てに関する情報も増えています。
その結果、昔は当たり前とされていたこと、子育てに良いとされていたことも変化し続けているんです。

子どもにとって最適な環境を作り、保育士にとって働きやすい環境を作るために、保育士は常に学び続けて進化し続けなければ。

・・・と思うんですが、なかなか難しいんですよね~
慣れ親しんだことをやり続ける方が楽ですから。
あえて新しいものを取り入れよう、学ぼうという風潮は、意識して作り出さないと。
個人が学ぶことはできても、環境そのものを変えるには集団の力が必要です。

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