企画制作と、近年変わりつつある公募やコンテスト
最近めっきり企画書制作ばかりしています。
(もちろん通常のシナリオ制作の仕事もしていますが)
主にマンガ原作やウェブトゥーンではありますが、そちらの方の企画書をつくってはコンペや公募に出しております。
新人の頃に挫折してから公募やコンペ、オリジナル作品にトラウマができてしまったわけですが、最近では公募やコンペで企画書をつくるのが楽しくもあります。
●オリジナル企画は全てが手探り
オリジナルは好きに作品を作れる一方、誰かのフィードバックや方針がないので、どんな風に進めてよいか手探りなのでとても難しいです。
ゲームシナリオなど請負仕事の場合は、元々企画があって、クライアントが示した方向性に作品を作ればよいので楽です。
例えば、『幻想のヴァルキューレ』では領域ZEROさんから「スポ根っぽい雰囲気で」という方向性を示されたので、そういう方向性で作品をつくっています。
『アサルトリリィ』もファンがどのような作品を求めているかわかっているので、その方向性で作品をつくりました。
しかし、オリジナル作品となると、作品の方向性が正しいかどうかわからず、全てが手探りなので、かなり頭を悩ませています。
また、公募に出すまでは全て自分ひとりで決めなければいけないのが大変です。ゲームの場合はシナリオディレクターやディレクター、プロデューサーといった人たちが決定するし、方向性が間違っていればフィードバックやリテイク内容が来るので、そのとおり修正すればよいです。
しかし、公募となると、全部ひとりで決めなければいけないので大変です。
この点については、やりたいことが明確にある人の方が作家性があってよいのかもしれませんね。
●ラノベの公募が作家から作品毎になっている傾向にある
ラノベの公募やWEBコンテストが作家から作品毎になりました。
20年以上昔なら受賞作家は定期的に出版社から本を出すことが可能でした。
出版社は受賞作家にファンが付くまで根気よく本を何冊も出してくれました。そんな中で、編集者が作家が成長するまで面倒を見てくれました。
その分、受賞後3年縛りというルールもありました。
(受賞したら最低3年間は他の出版社から本を出版しない)
しかし、近年では公募にしてもWEBコンテストにしても作品毎の受賞となって、もし受賞や書籍化してもその作品が売れなければ、それまでとなる傾向にあります。(もちろん受賞作品が打ち切られても、セカンドチャンスをくれる編集部もありますが)
WEB小説は作家買いではなく、作品買いと言われていますが、WEBコンテストや公募までそうなりつつあるようです。
●公募が中規模やマンガ原作前提となっている
WEBコンテストや公募も以前なら10万文字~がほとんどでしたが、最近では6万文字程度の中編コンテストも増えてきました。
また、マンガ原作を求めるコンテストも増えてきて、そちらは2万字~といったものが多いです。
1作品10万文字となると社会人としては大変ですが、2万文字や6万文字といったコンテストであれば応募しやすいのではないでしょうか。
●まとめ
そんなわけで、自分が公募に応募していた頃に比べて、だいぶ公募やコンテストの意味合いが変わってきています。
昔のように担当がついて「次の作品はどうしましょうか?」なんてことはなくなりつつあります(人気作家は別ですが)。
3年縛りといった暗黙のルールもなくなりつつあるので、作家も作家志望さんも自由になった分、より積極的に様々な活動や営業をする必要が出てきました(その弊害や功罪や今後どうなっていくのかについて触れないでおきます)。
そう考えると、プロになったから安心ではなく、また、1つの仕事が決まっても安心することはなく、仕事の営業をするように常に公募やコンペ、コンテストをひとつの業務としてやらなければいけないなと思いました。
ただ、自分は昔のようにそちらに全力を出して頑張るとしんどくて心が折れるので、あくまでもシナリオライターの営業のひとつとして、肩の力を抜いて、当たればラッキーくらいの気持ちで臨もうと思います。
私は人脈や人間関係を築いて仕事を得ているし、リピートしていただいているので、そういう1回ずつのドライな世界だけだと心がすさみそうなので。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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