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【発達支援】頑張っているお母さん支援の鉄則

 この記事は、特性を持っているお子さんを育てている、お母さんに焦点を当てて書いています。前回に続いて、お母さん方のストレス発散の方法について書きます。

 発達障害の特性をもつお子さんの行動は、その脳の特性がゆえ、一般の人達には不思議でしょう。しかし、特性を持っているお子さんの子育てとなると、とてもストレスのかかるものになります。

ストレスの要因

1.養育態度(応答的・統制的)

 応答的な態度は、子どもの気持ちに気づき、愛情ある言葉や身振りを使って、子どもの気持ちをできるだけ満足させようとする態度を言います。
 母親の気持ちの安定と深く関係しており、応答的な養育態度を取る母親は感情的に安定しやすいと言われています。

 統制的な態度は、子どもの気持ちとは関係なく、母親が子どもにとって良いと思う行動を決め、それをする行わせる態度を言います。一般的には、統制的かかわりを取っている母親は、しつけに自信がなく、育児不安が強いことを示しているそうです。

2.子どもの行動に関する考え方(肯定的・否定的・被害的)

 一般的に、特性を持っているお子さんは、環境に適応できない行動が多く、その母親は被害的な考え方と育児ストレスが高いことが言われています。さらに子どもの障害は、母親の養育態度に影響を与え、また母親は、否定的な養育態度を取る傾向が強く、ストレスを増加させることが報告されています。

 子どもの不適切な行動に対する母親の考えを、『肯定的な考え』、『否定的な考え』、『被害的な考え』の3種類に分けた上で比べると、『被害的な考え』をする母親に、虐待経験が多いことが分かりました。
虐待に至ってしまうほどのストレスを抱えていると言われています。

3.ソーシャルサポート

 身近な人からのサポートが、障害児の母親の障害受容に効果があると報告しています。家族からのサポートや友人からのサポート、大切な人からのサポートなど、どれにおいても障害児の母親に対して、育児や夫婦関係、母親自身のストレス軽減に有効なことが示されています。

障害児をもつ保護者のストレスに影響を与える要因の研究

論文から分かったこと

 一般的に言われている、障害児を育てる母親のストレスには、養育態度や子どもの行動に関する考え方、ソーシャルサポートが関係していることを伝えています。
 養育態度では、子どもに対して応答的な姿勢になることが大切です。
例えば、子どもが抱っこして欲しそうな時には、十分に甘えることが出来るよう、両手を広げて待ってあげましょう。応答的で大切なことは、相手がどのようにして欲しいかを察するということです。特性を持っているお子さんは表現することがとても苦手です。お子さんをいかに理解しようとする心が、お母さん自身のストレス解消になります。

 子どもの行動に関する考え方は、養育態度と密接に関係しているように思います。子どもの行動に対して、否定的または被害的な考えだと、どうしても統制的な養育態度になってしまいますよね。発達障害の特性がどのようなもので、子どもたちがどのように感じていたり、考えていたりするのか、私たち言語聴覚士や他の療育専門家が、お母さん方に伝えることで、負のスパイラルを断ち切れると思います。

 前回の記事でもお伝えしましたが、やはりソーシャルサポートは必須のものになります。障害児を育てているお母さんが、どのように感じ、考え、悩んでいるのか、近くで聞いてくれる人が重要です。もちろんアドバイスできると理想的ですが、別のお子さんで上手くいったことが、目の前のお子さんに当てはまるとも限りません。重要なことはお母さんの話をたくさん傾聴し、一緒に悩むことではないでしょうか?


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