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フィードバックよりもフィードフォワードの方が効果的な理由とは?

人事評価や日常的な仕事などで部下に対してフィードバックをしたり、上司や先輩からフィードバックをされたりする事は多いと思います。

一方でフィードフォワードはフィードバックと反対の概念なのですが、あまり馴染みが言葉ないかも知れません。

この記事ではフィードバックよりもフィードフォワードの方が効果的な理由について考えてみたいと思います。

フィードバック

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フィードバックはもともとは制御工学の用語で、出力結果を入力側に戻し出力値が目標値に一致するように調整する「フィードバック制御」が語源ですが、ビジネスにおけるフィードバックとは、求める結果とのずれを生んでいる原因を行動側に戻し、より良い成果を導くための手法のことを指します。

例えば、仕事でプレゼンテーションを行った人に対して課題や改善点などを伝え、次回にプレゼンテーションを行う場合にどうすればいいのかを考えさせる際に行います。

フィードバックは仕事をより良い結果に導くために業務を改善することなどを目的として行いますが、課題や改善点、過去の失敗などを指摘するためネガティブな要素が強くなり、フィードバックをする側もされる側も「フィードバックされるのが憂鬱だ」「フィードバックするのは気が重い」といった気持ちになりがちです。

フィードフォワード

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フィードフォワードは未来を意識して未来に働きかけるとこでより良い成果を導くための手法です。

例えば、上司と部下の1on1ミーティングの場面で上司が部下へ「これからどんな仕事をしていきたいか?」を聞きます。
すると部下は「○○の仕事をしてみたい」「△△のスキルアップをしたい」などと回答します。
次に上司は「どうしたらその仕事ができると思うか?」「どうしたらスキルアップができると思うか?」を問うことによって、部下はそのために何をすればいいのかを自分で考えて導き出します。
上司から「やらされたこと」ではなく、自分が「やりたいこと」なので自発的に取り組むようになるのです。

フィードフォワードは仕事をより良い結果に導くために未来思考で課題をクリアすることを目的としているため、過去の失敗ではなく未来の課題に目を向けることからポジティブな要素が強くなり、フィードバックをする側もされる側も前向きでワクワクした気持ちになります。

フィードバックとフィードフォワードは何が違うのか?

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フィードバックもフィードフォワードも未来に向けて活動を改善していくためのものですが、フィードバックは過去の失敗を振り返ることから始まるため思考の起点が「過去」となり、フィードフォワードはこれからどうしたいかを考えることから始まるため思考の起点が「未来」となります。

つまりフィードバックは過去のデータから未来を予測するフォアキャスティングによるアプローチ、フィードフォワードは未来視点から現在を振り返るバックキャスティングによるアプローチです。

フィードバックとフィードフォワードを行う際に脳内で何が起きているのか?

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フィードバックで過去の失敗を振り返ると脳内では「失敗の追体験」が行われるため失敗の記憶が強化されてしまいます。
脳内では何度も失敗を味わうことになり、ストレス物質であるノルアドレナリンが増加し前頭前野の活動も抑制されるため、脳のクリエイティビティが低下してしまうのです。

一方、フィードフォワードでありたい未来をイメージすると脳内では快楽物質であるドーパミンが増加し前頭前野の活動が活発化するため、脳のクリエイティビティが高まります。
ドーパミンが増加することでポジティブで意欲的になり、前向きでワクワクした気持ちになるのです。

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また、脳には自分が重要だと判断したものだけを認知するRAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)の機能が備わっているため、ありたい未来に必要な情報を効率よく収集できるようになり、結果も出しやすくなります。

過去思考のフィードバックと未来思考のフィードフォワードでは、分泌される脳内物質の違いから課題に向き合う姿勢も変わってきます。
「やらなければならない(have to)」の他人事の意識で課題に取り組むのか、「やりたいこと(want to)」の当事者意識で課題に取り組むのか、どちらが効果的かは言うまでもありません。

フィードフォワードは認知科学コーチングのアプローチそのものと言ってよいでしょう。
認知科学ベースのコーチングってなに?という方は、以下の記事をご覧ください。

フィードフォワードの具体的な方法を学びたい方は、以下の書籍をお読みください。


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