秋山 真樹子

文筆/批評(主にコンテンポラリージュエリー)。寄稿『ユリイカ』等。共著『Spring/…

秋山 真樹子

文筆/批評(主にコンテンポラリージュエリー)。寄稿『ユリイカ』等。共著『Spring/Summer 16_green gold』(2017)等。お仕事の依頼は akiyamam710@gmail まで。https://makikoakiyama710.tumblr.com/

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  • ジュエリーと批評(仮)

    ジュエリーのことを考えてきた人間が書くジュエリーの話、批評の話、たまにアートの話。不定期更新。

最近の記事

加賀美健:例のあの缶バッジ

数あるジュエリーのなかから、これを身につけたいと思う決め手はなんだろうか。あなたは持っているジュエリーの全部、それを選んだ理由やつける理由を説明できるだろうか。それを説明できること、あるいはできないことはあなたの、そして作家の何を語るのか。 2023年9月12日から9月24日まで恵比寿の NADiff Gallery で行われた「ミニマリズム」展では、現代美術家、加賀美健のウォールペインティングやインスタレーションが発表された。それと合わせて、2018年から加賀美が NAD

    • 「BEZEL CONTEMPORARY JEWELRY」展評:可能性に誠実であること

      2023年8月18日から9月3日まで横浜の BankART KAIKO で行われた「BEZEL CONTEMPORARY JEWELRY」展は企画者の配慮が随所にしのばれる好企画だった。5名の作家やデザイナーによって構成された「コンテンポラリー・ジュエリーの魅力と可能性を探るグループ展」と銘打たれたこの展覧会はどのようなものだったか。 ■空間構成について ジュエリーは1点1点が小さいため広い空間で展示するのはむずかしい。作家や作品の数を増やす、オブジェなどの大型作品を用意

      • 〇〇で何が悪い 光浦靖子の仕事

        彼女を知る人であれば、光浦靖子という名前を聞くと、芸人としての仕事を真っ先に思い浮かべるかもしれない。現在はカナダ在住でメディアの露出が減ったものの、お笑いコンビ、オアシズの片割れとしての活動歴も長いので、テレビなどで見たことがある人も多いはずだ。 手芸作家としても活動している。主にフェルトのニードルワークで作られるその作品は完成度が高く、カラフルな色遣いや楽しいモチーフ、そのオリジナリティによって多くの人を魅了し、作品集も4冊刊行しているから、作家としての認知度は高いと言

        • 線を引く

          コンテンポラリージュエリーの話をしよう。 私が従事しているのは、コンテンポラリージュエリーという自己表現や芸術表現としてのジュエリーだ。定義が抽象的であいまいであるだけに、何をコンテンポラリージュエリーで何がそうでないとするかは人によって意見がわかれるところで、すっきりと手短に説明できないのが分野全体の長年の悩みのタネだ。 何をもって芸術表現とするかは人それぞれなのだから仕方のないことなのかもしれないが、認識の統一を図れないというのはなかなか厄介なもので、ある作家がコンテ

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          ジュエリーと批評

          ジュエリーが好きだ。というより、ジュエリーについて考えるのが日常の一部なので好きとか嫌いとかいうものさし自体がもはやぴんとこない。 子どものころからジュエリーに興味があったが、ほかの子どもと比べて特別そうだったかというとそうではないようにも思う。幼いころ母親のジュエリーボックスに胸をときめかせ、スーパーに行くたびにセボンスターなどのおもちゃのジュエリー入りの駄菓子をねだっていたのは私だけではないはずだ。 その後もビーズ細工や手芸など、手を動かしてこまごましたものを作るのが

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