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言葉とジェンダー、俳句。

スペイン語は多くの名詞の終わりがoかaで男性か女性が分かれ、そうでなくても冠詞によって男性か女性をはっきりさせているかなりバイナリーな言語で、スペイン語に出会ってからこれまでずっと苦労してます。その名刺につける形容詞も男性形か女性形に形を変えないといけないから。

女性名詞・・・La silla 椅子、La cosa 物、La mesa テーブル、La cama ベッド、La casa 家、La comida食べ物、La ducha シャワー、La tierra 大地、La monedaコイン、La palabra 言葉

男性名詞・・・El caso 事件、El espejo 鏡、El agua 水、El árbol 木、El aire 空気、El sillón ソファ、El lápiz 鉛筆、El fuego 火、El dinero お金、El mapa地図

などのように。

性別に関係ない名詞でさえ男女分けられており、言葉と性別が密着しすぎてて曖昧にするのが難しい。

でも公式じゃない書類とか友人間のメッセージではだいぶ前から「amig@ 友達」「chic@ 子ども、仲間」 と表記するのを見かける。@はoとaの組み合わせみたいでどちらにも使える感じだから便利だけど公式では使えない。

たまにchique(最後をeにして男女はっきりさせない)も見かけるけど、反発の声も聞く。そんな言葉は正しくない!と怒ってるのはたいてい年配男性なのが不思議。

アルゼンチンでは「学校の先生」を「profesora/profesor」ではなく「docente」という単語を使うことが一般的なので、学校に連絡して「先生に伝えておいてください」と言ったり書いたりするときに、実際には女性の先生が大半だけど混ざってるから「profesorasじゃなくてprofesoresにするべきか」とか「担当の先生が男性か女性か知らないからどっちで書こう」と迷うことなくdocente を使えて便利。それでも冠詞はやっぱりEl/Los(男性)になるな。うーん、やっかい。

スペイン語に比べれば日本語は男性名詞女性名詞が分かれてないから、気にしなくていいときも多いけれど、日本語はそもそも男性と女性で使う言葉のニュアンス、トーン、語尾が違うから、言葉自身の性と言葉を使う人の性がつきまとって当たり前に使いながらすごく縛られてると感じる。

人は言葉を使いながら自分たちのジェンダーをますます固めていくのだな。

だから言葉が削ぎ落とされた日本語俳句は自由を感じられるけれど、いくら短くしてもジェンダーのつきまとうスペイン語の俳句を私が作ろうとしてもなかなか自由になれないんだな。



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