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未来の職人を育む寺子屋をつくってみます【寺子屋ツクル#1】

こんにちは。
築古専門のリフォーム屋を経営しており、古民家をクリエイティブするのが大好きな”もりだいち”です。

らいおんという名前で音声配信やらなんやら活動をしていますが、ここでは本名で綴っていきたいと思います。

そんな僕には想いがあります。

「空き家を活用する文化をつくりたい」

これが僕の人生をかけた目標です。
そしてなぜこんな文化をつくりたいかというと理由が3つあります。

・古い家がめちゃ好きだから

・この世に生きた証(文化)をつくりたいから

・なんか楽しいから

です。
まぁ大層な理由ではなく、でも人間らしい素直な理由ででかい目標だと我ながら気に入っています。
これで人生を全うする所存です。

そしてそのために未来の職人を育む寺子屋が必要不可欠だと思っています。
なぜなのか?
少し長くなりますが、お付き合い頂けたら嬉しいです。

⬛︎日本の空き家問題

現在、日本の空き家は日本に846万戸あると言われていて、そのうち何も活用されていない空き家(売りにも出ていない、賃貸にも出ていない、別荘としても使われていない)は約4割の340万戸ほど。

引用:総務省統計局

いわゆる空き家問題ってやつは結構深刻で、これがこのまま進むと景観や衛生面で地域に悪影響を及ぼし、町の衰退の原因となりインフラ整備する体力もなくなり、日本中でこのようなカオスな状態になれば未来はどうなっていくのか・・・想像するだけで暗い気持ちになりますね。

僕は7年前から空き家再生の事業に携わるようになり、色々な理由で放置されてしまっていた空き家をみてきました。
それらをリフォームし、再活用するという事業に携わらせて頂き、だんだんと古い家屋に魅了されるようになると同時に活用の可能性を無限に感じるようになりました。

「古い家なんて住めないでしょ・・」
「壊すしかないわよね・・・」
「誰もこんな家いらんじゃろう・・」

初めはこんな風に言っていた所有者たちも再生され、活用されるようになると口を揃えて「こんな活用できるならもっと早く知っていればよかった・・・」と言います。

実際に再生した築100年の空き家

そう。
空き家問題の根本的な原因ってみんな家のことを知らない、そもそも興味がない事だと思うんです。

⬛︎空き家問題と建築業界の職人不足

じゃあどうやったら興味を持ってくれるのか?
多分色々あると思いますが、大きく分けると論理的に動かす方法と感情的に動かす方法の2つがあると思っています。

論理的に動かす方法は空き家を活用するメリット、放置するデメリットを伝える事。
要は、放置していると固定資産税がこんなにかかるけど、活用すればむしろ儲かるかもしれないよ!という説得の仕方ですね。

これが昨今の空き家投資ブームの要因の一つかなと思います。
ですが、これだけでは限界があると思っています。
というのも、年間に増え続ける空き家の数ってえげつなくてとてもとても追いつかないんですよ。

引用:総務省統計局

ただただ放置される(せざるを得ない)空き家って年間で5万軒以上も増えていて、それに加え新築住宅もつくられ続けていて、なおかつ人口も減り続
けている。

なので、左脳的な事を言われてもうんともすんとも動かない層にも動いてもらわないといけない。
そこでもう一方の感情的に動かす方法です。

放置されていた空き家ビフォー

これはシンプルに、楽しそう!とか、やってみたい!とか、かっこいい!可愛い!ステキ!という感情で、損得関係なく夢中になる状態だと思っています。
ちなみに僕はこれです。
努力は夢中に勝てないと言いますが、夢中になれば自ずと勉強もするし、行動もするし、お金も使うようになりますものね。

放置されていた空き家アフター

例えば、空き家を活用したオシャレなカフェをつくって魅せるとか、空き家を題材にした感動的なアニメ、ドラマをつくるとか。

論理的から入って感情的に動く人もいれば、感情的に入って論理的に動く人もいるでしょうから、とにかくこの左脳と右脳のハイブリッドで空き家に興味を持ってもらうような活動が肝だと思うのです。

が、みんなが興味を持って「よーーーし!空き家を活用するぞーー!」となっても、とても重要な問題がぶち当たってきます。

建築業界の職人不足問題です。

⬛︎未来の職人を育む寺子屋をつくりたい

職人さんの高齢化が進み、減少の一途を辿っている建築業界。
この20年で大工さんの数は100万人近くから30万人弱にまで減っています。

職人不足の原因は色々で、過酷な労働環境や給与面など現実的な問題が考えられます。

それらも相まってそもそも”職人になりたい人”そのものが減っているのは否めません。

僕はこの業界に10年いてたくさんの職人さんと一緒に仕事をしてきましたが、小さい頃から職人に憧れていてやっとなれた、という人よりもこれしかなかったという成り行きで職人になった人が多い印象があります。

職人さんのかっこいい姿

やはりそういう職人さんほど辞めていく率も高く、結局、父親が大工で〜とか小さい頃から憧れていて〜という職人さんと一緒に仕事をさせて頂く事が多いです。

悲しい事ですが、それもそのはず。
そもそも職人さんってどんな仕事をしているのかがわからないんですもの。
そりゃ、子供のなりたい職業ランキングでも圏外になりますわな!

僕は祖父が大工さん農家だったので、小さい頃から木を切ったり、田んぼを耕したり、畑で遊んだりとモノつくる機会に多く触れていたので、こんなに楽しく古民家をクリエイティブだーー!とか言っていますが、どんどんそんな機会が減っている現代において、職人に憧れるなんて無理ゲー。

だったら、楽しさを知っている僕がその楽しさを子供達に伝えるしかないじゃない。

そして、そんな未来の職人さんたちが古く使われていなかった空き家から生まれたらまぁ素敵じゃない。

それだけで人生を全うしたといってもいいぐらい。

という理由で小学生向けの職人寺子屋をつくろうと決めました。
でも、教育とは全く無縁の現場でひたすら仕事をしてきた僕にとって、子供たちに何かを教えるというのは何から手をつければいいのか・・・・・。

考えていても仕方がない。
物は試しだ、という事で先日の夏休みど真ん中に「親子でつくろう!ミニチュア木造住宅!」という木工教室を開催してみました。

そしたさ・・もう楽しかったのよ。
僕の実力、経験不足で思うように進まなかったり大変ではあったけども、もうとにかくこれが未来に繋がるのかもしれないって思ったら超楽しくて。

ここまで空き家問題がとか、職人不足が深刻でとか長々と綴ったんですけど正直そんなこと関係なく寺子屋をやりたい!!と思いました。

その結果、職人になりたい子が1人でも増えて、その子達が将来の空き家を修繕して、自ら空き家を活用するようになったらもうそれで良い気がしてきました。

⬛︎こんな寺子屋にしたい

そんな風に思ったらもう夢中よ。
四六時中こうしたいああしたい、こんな事を教えたい、これ楽しむんじゃないかとかそんな事ばっかり考えております。
そしてまだ何も進んでいないのに寺子屋の名前が決まりました。

寺子屋「ツクル」

です。

もう仮のロゴをつくってワクワクしております
  • 想像して”造る”

  • 仲間を”作る”

  • 未来を”創る”

こんな想いを込めて”ツクル”にしました。
そしてこんな事が学べる寺子屋にしたいなぁ思っています。

★iPadで3Dモデリングしたものを木工作

iPadでCADを使ってつくりたいものを3D作成。
それを実際に自分で木を切ったり削ったりして造ってみる。
自分で”想像したものを造る”という楽しさを伝えられたらと思って考えました。

やっぱり自ら考え自ら造るって楽しいですもの。
iPadだとPCとは違い、直感的に3Dモデリングができるので小学生でも出来そうです。

実際にsketch up(スケッチアップ)というアプリで試してみましたがこれが楽しい。
プロの現場でも使われるガチソフトですが、ライトな物まで直感的に作成できます。

低学年、高学年でどこまでこのsketch upを使いこなせるかはこれから定期的にお試しイベントを開催して試行錯誤していこうと思います。

★マイクラでつくったものを木工作

これも想像して造るをテーマにした内容ですが、みんな大好きマインクラフトを使うのも楽しいなぁと思います。

これ僕のマイクラ

マイクラなんてみんな大好きじゃない。
で、これが人気ってことは何かを造るってこと自体やっぱり子供も好きなんですよ。
これもiPadを使っていきたいのでiPadはこの寺子屋でマストになりそうです。

引用:Apple公式サイト

★共同作業で一緒につくる

一人で黙々とつくるのも楽しいのですが、みんなでつくる楽しさも伝えていきたいなぁと思っています。
職人さんになったら一つの建物や物を皆が力を合わせてつくっていくので、この寺子屋で一緒に”一つのものをつくっていく仲間を作る”、そんな場所にもしたいなぁと思っています。

★誰かに使ってもらう喜び

自分でつくる喜び、一緒につくる喜びを一通り学ぶときっと”誰かに使ってもらいたい”という想いも出てくると思います。
僕がそうなので。

それを感じられるように、例えば高学年の子達が想像して3Dモデリングしたものを低学年の子達につくってもらうとか。
例えば、高学年の子達が木でつくったマイクラのブロックを低学年の子達が組み立てて遊ぶとか。

そうやって誰かに使ってもらう喜びを知るときっともっと楽しくなると思うんです。

⬛︎そうして未来を創っていきたい

この寺子屋でもし、自分で想像して造れて、仲間もたくさん作れて、誰かに使ってもらう喜びを知ることが出来たら、きっと僕なんかでは想像もできないような良い未来を創っていけると思います。

また、そんな子たちが教えて育つ次々世代の子たちはもっともっと良い未来を創っていき、次々々世代の子たちは・・・・・。

多分僕がこの世からいなくなった未来では想像もつかない職人さんたちで溢れていて、「空き家問題?何それ?家って空くことあるの?」なんて事になっていたら僕の空き家を活用する文化を創りたいという夢は叶うんだろうなぁと思います。

僕が生きているうちには夢が叶いそうにもありませんが、こんなに心踊るなら叶わなくても良いし、ずっと夢をみられるなんて最高じゃないですか!

という事で、まずはこの第一号寺子屋を僕の新しい拠点になる予定の犬山城下町でつくってみようと思います。

そもそもこの犬山城下町に拠点を移す事が先決なのですが、こっちはこっちで壁を乗り越えないといけなさそうです。
そっちの様子はここで綴っておりますので、併せて読んで頂けると嬉しいです。

不定期ですが、noteでは寺子屋をつくりあげていく様子をお届けしていきますのでぜひフォローして、こんな僕の叶わぬ夢の軌跡を今後も見守って頂けたら幸いです。