見出し画像

「わたしの文章」(詩)

私は私の文章を知らなかった
私の中で
私の文章は
面白味が薄く
ありきたりの風景の連続を
どうにか整えて色を感じることができる程度の
文章だと思っていた
 
はじめて視るときには疑問に浸され
じっくり見つめると ぼんやりと影が捕えられ
そっと覗いてやると やっと中心の輪郭を見る
そんな分かりにくいものだったとは
一切 横切りもしなかった
そういった私に
ひとは驚いた目
 
ひとの目に反射するさまを追った
どんな世界が飛び込むのか
様々に揺らして
少しずつ この角度 この言葉と気づいた
私は知らなかった
私は私の文章を
私のままで読んでいたこと
本物の客観性を持つには
あまりにひととの間にある山は険しかったこと
 
私は知った
私の文章はもっと もっと面白くなること
私の目が 私の耳が 私が吐き出す彩りが増えていく
反響する瞳孔を通して深く
私の文章は
たしかに私と血を分け合い
そして私より遥か遠くへと
 
ずっと遠く渡っていくことを知った

この記事が参加している募集

#スキしてみて

527,181件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?