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「夢に現に、宴の瀬の背からみつむ」(詩)

私は真珠の首飾りをいくつにも切り離し
与えてやった
顔も知らない男に女に

掘り起こされた原石の塊が目の前
ほとんどはアメジスト
私はエメラルドがよかったのに

ため息を吐いて
髪を解く
ぼさぼさにふくらむ
手櫛で抑えようにも
ちっともうまくいかなくて
花の香りの洗い粉で泡に沈める

めくるめく
これはすべて
夢の話

私に施される暗示は幸福的で
そのためにどうするべきか
悩みだしたらキリがない

どうせ
どう動こうとも
すべては流れのままに
流れてしまったあとに姿は現れて
あらためて決定していたことと垂れる

私は夢に現に宴を歩いている
お互いの持ちものも曖昧な
いつしか昼も夜も曖昧な
私の一部に袖の中

いつしか袖は長く波打っていた
私の一部は縁を溶かす光
幕は大きく長い
裾野のほうから走り出すのは

瞠目の朝

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