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「ひとつ道を捨てる」(詩)

行くべきだった
道を前に
目を伏せた
歩き続けることに
あなたが同意してくれたから
あなたの手の幻がくっきりと引く
私の線を

行くはずだった
闇の潤沢の底
心がこぼすものを
あなたは責めない
それを望む私も
かえりたいこの手も
ただ引いていく
幻の手となって

行くはずだった
道を見捨てて
それでも私はその道へと戻る標識を探してしまう
あなたの手が引く
静けさと反射の眩いこの地面
この手は幻として固くなり
私はその冷たさに耐えながら
それでも振りほどくことはできない

道は繋がる
それだけを呟いて
目を伏せる
もうひとつの目が開く
あなたの声が時々風と吹き抜けて行く
私は
幻の冷たさに泣いて

歩きながら
手を

歩いている
あなたが繋いでくれたあの瞬間の
連続の果てまで
歩いていく


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