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「たまご」(詩)

あなたを溶かして
私は影を滑らかにした
どこかで薄が歌う
あなたの耳の形の月がのぼって
あつめられるだけの光で
花冠をつくった
あしたにながれ着く頃には
それはもうふやけて とても無情ではいられない
ゆるすぎた風が
虫を迷わせる
野の原はそうして好き好きの花を散らしていく
あなたの頬が滅びるのなら
私の両手で爆弾を防ごう
爪がすべて月の海になっても
この両手を握ってね?
手品師のようには笑えない
くすんで 赤らんだ
私の好きに キスをして

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