詩に囲まれる詩集「ここに素敵なものがある」と内側に花の種を植える詩画集「さよならのあとに」
私は詩集が好きです。
もちろん詩が好きというのもあるけれど、
自分には考えもつかない言葉の海の色を見せてくれる、
その大きな空白に魅せられてしまうのです。
この間のmimoza行脚で手に入れた二冊も詩集でした。
一冊は、『自由港書店』さんで。
一目惚れでした。
中を覗いたときに目に飛び込んできた
という詩に、ノックダウンしました。
表紙も素敵なんですよ。
あとから気づきましたが『西瓜糖の日々』の作者さまで、
そりゃ買って正解だったよ!となりました。
作 リチャード・ブローディガン
訳 中上哲夫
『ここに素敵なものがある』
ここに納められいる全てに感銘を受けたかと言うと、
私のアンテナはそこまで繊細ではないので、
幾つか、ということになるのですが、
読みながら、
彼と言う繊細がよくぞ生きたなと感じずにはいられませんでした。
繊細であることに我慢が出来なくてぐずってしまうような純粋さ。
言葉は彼を愛しているのに、
その愛を信じられなかったり、溺れたり。
それでも最後までその腕は言葉の中にあったのだろうと思う詩集でした。
私は、ブローディガンの一生を知っているわけではないので、
これを期に学んでもいい様な気がしています。
この詩集を読んで、
良い意味でとっても疲れたのですが、
続けてどうしても読みたかったものが、
二冊目の『さよならのあとで』でした。
作 ヘンリー・スコット・ホランド
訳 高橋和枝
『さよならのあとで』
これは、
ひとつの詩に、
可愛らしく、やさしい絵がそっと添えられている一冊です。
この間姫路の『おひさまゆうびん舎』さんで新刊本としてたくさん並んでいて、手に取ってその拍子の繊細さと、そしてこんなにもあたたかな生活を感じるのに与えられた『さよならのあとで』という言葉に、
捲ってみなくても買うのだろうな、と思っていました。
中は、
多くて二行。
片方のページは真っ白、という贅沢な造りになっていますが、
ああ、これが孤独なのかと思いました。
この詩は、
亡くなった誰かが、
残された大切な人たちに祈る詩だと思います。
この本に、ページ数はありません。
たぶんどこから読んでも大丈夫。
でも、最初から読んでほしいなと思いました。
(めっちゃ途中から読んでおいて、、、)
これは、
大切な人の死が、
生活になるまでの詩です。
その導きです。
私がずっとずっと、
どうにかできないかと歯を食いしばってきたことです。
だから、うれしかったのです。
「あなた」は、
私の日常に、生活に、成ろうとしてくれていたのかもしれない。
私が頑張ったことを、
どこかで微笑ましいような顔をして、
自分の淋しさに胸を撫でたのかもしれない。
そう思えました。
本当に、やさしい本です。
触れると、そのやさしさを分けてもらえるようなあたたかさです。
もしも手にする機会があれば、その表紙だけでも、
手にしてみて下さい。
きっとあなたの幸せを笑って願ってくれる本です。
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