「ふくらはぎを噛む」(詩)
わたしに 触れて 分かったはずだ
わたしの目に 嘘は枯れず
わたしの声に 鱗はまだ少なく
わたしの胸のふくらみの陰で
夜はかなしく濁りはじめている
あなたの言い草に付き合った
私を見ただろう
あなたが突き刺す雲の幼さが
やがて大雨を吐き出す
わたしの病んだ片手が
どれほど大切にしたいものなのか
踏みつけた足裏にやぶれず固く
あなたはうまく怯えていた
わたしの不都合は
この手には無い
ふくらはぎを無邪気に
噛みつらぬく
人の歯は まるで赤子のようだった
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