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「浮かび上がる最初」(詩)

あつめてきたものが とうとつに 名乗り出はじめる
私が
私が

「わたしであること!」

とらえていることはできない
まどわしてきたわけでもない

私は
私は

あげつらねて 壁を叩く
どうぞ ドアを生んで 身を引くと

どうぞ お先に
まさか どうぞ

互いを さきに立たせようしはじめる
浮かび上がる最初はこわい

そんな恐怖もさざ波のように隅々まで渡り切れば 笑いに化ける

さてよ
さてよ

戸締りのいらないお出かけを見送る
私のなかにあつまった各々が 手を振り合って出ていく背中

うふふふふ

わたしは空っぽになってはじめて
軽さに酔っぱらった

ああ これは 浮かれだしてしまう

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