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詩、誌、氏

700
詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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#現代詩

「頷きは息をさせる」(詩)

許さないと決めたこと それは弱さだと詰られるけれど 私はそれをそのままお腹にいれたい 許す…

とし総子
5か月前
7

「夜の淵」(詩)

夜が恐かったわけじゃない 私を奪うものが恐かったの 星は矢となり 夜を射る 夢よ醒めろと月…

とし総子
6か月前
5

「新芽」(詩)

風に暴かれた いたみが ぽつ ぽつ と 光を産む 道端に落ちたからと 花を真似して するり…

とし総子
6か月前
5

「頸」(詩)

物語りを裂いてはいけない 丸のままで取り出して そのために私の顎を砕きなさい 歯を押し沈め …

とし総子
7か月前
6

「しずかにおちた」(詩)

しずかに しずかに おちてくるもの とつとつと しずかが おちてくるのよ それは赤い実だった…

とし総子
7か月前
6

「月が降りる」(詩)

月が呼ぶ 白い手が 白い声に 響きを伝って 押し当てられる たらり たらり、と白く 細く儚いも…

とし総子
7か月前
8

ある日の空を見ての詩ふたつ

【青】 まっさらな空は淋しい 青く 青く 青く 轟く風の音さえ鎮まる 青に 青に 青に 【白】 白い雲を突き 届く月の細い白は もう純白である必要はない 揺れる日々を仄温めて 幻のように燃えていて 白く

「ひと」(詩)

完璧を理想としながら 不完全を愛おしんでしまう ひとというものは なんて幼い そして可愛い…

とし総子
7か月前
10

「風の中の茜」(詩)

赤猫を追いかけた あの道はもう無い 落ち葉が埋めて 雪が咲き 明るい地面を洗った季節 あの…

とし総子
7か月前
6

「いのり」(詩)

ただ、祈りたいときがくる 目を閉じ 手を合わせて そして呼吸だけを回す そこでは言葉が小さ…

とし総子
7か月前
7

「きれいな小石」(詩)

死んだほうがましなことは 目を瞑りたくなるほど転がっていて だけど 瞼が叩いて起こす視界の…

とし総子
7か月前
8

「骨と羽」(詩)

孤独は 骨 その枝々に繁る いつまでも若葉のままの自由 余り気味の羽は 肩を凝らせる

とし総子
7か月前
5

「耳を信じる」(詩)

わたしはわたしが猥雑なものであることを 識っている わたしはわたしが悪事を平気な様子で …

とし総子
9か月前
8

「つむる」(詩)

ゆれることばが あなたをゆらすなら わたしは ずっとこのまま 目をつむっている